2013年4月のLinuxカーネル3.10リリース以降、多くの新機能が追加されている。
その中で特に重要なものとしては、一時ファイル作成の「O_TMPFILE」オプション、NFS 4.2のサポート、ARM64アーキテクチャによる「Xen」と「KVM」の仮想化サポート、スワップの圧縮キャッシュ機能「zswap」、グラフィカルディスプレイとは独立したGPUレンダリングエンジンの使用のサポート、ハイエンドディスクI/Oパフォーマンス向上のためのマルチキューブロックレイヤ、「nftables」ファイアウォール(最終的には「iptables」に取って代わる予定)、リアルタイムEDF(Earliest Deadline First)スケジューラ、さまざまなネットワークに関する改善、コントロールグループサブシステムの大幅な改変、安全なプロセス間通信のための「file sealing」のサポート、「overlayfs」ユニオンファイルシステムなどがある。もちろんこれ以外に、数多くの新しいドライバや修正点がある。
以上が良いニュースだ。困ったニュースであるのが、無報酬の開発者からの貢献の量が、何年にもわたってゆっくりと減少していることだ。2012年には14.6%だったのが、2013年には13.6%になり、現在は11.8%である。
もちろん、これは単にLinuxの成功の兆しなのかもしれない。テクノロジ自体には関連がないような企業が、今では自社のIT部門に、経験豊かなLinuxのエンジニアやプログラマーを必要としているのだ。それが一番現実味のある理由だとLinux Foundationは考えている。そもそも、「カーネル開発者は不足しているので、コードをメインライン化させる能力があることを示せれば誰でも、苦労せずに働き口を見つけられる傾向がある」のだ。
同時に、Linuxに初めて取り組む開発者の半数強は、既に企業に勤めている。具体的には、Intelは、新任の開発者を3人に1人の割合でLinuxの担当にしている。一方、サムスンやIBM、Google、Huawei(ファーウェイ)も、Linuxカーネルの開発に初めて取り組む新任のプログラマーを支援している。
Linux Foundationは、Linuxカーネルのコードレビューが、企業によって行われる傾向にあることも指摘している。サインオフ順では、Red Hatが18.8%で最も多く、次いでLinux Foundation(14.8%)、Intel(12.2%)、Linaro(9.3%)、Google(5.8%)、サムスン(5.2%)となっている。
こうした要素をすべてまとめると、現在のLinuxは、これまでにないほどボランティアではなく大企業によって作りだされているということがわかる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。