フランスのテクノロジ業界が、今回のCES 2015でイノベーション賞が発表されたのを見て驚いたことは間違いない。「Lima」は、どこにいても、ネットにつながったすべてのデバイスからすべてのコンテンツにアクセス可能にすることで「デバイスの働きを再発明する」ことを謳っており、「コンピュータ周辺機器」部門と「ソフトウェアおよびモバイルアプリ」部門の両方でイノベーション賞を獲得した。これは、Limaのテクノロジがハードウェア製品とソフトウェア製品の2つの性質を併せ持っていることを示している。
クラウドからのステップアップ
パリを拠点として活動し、Gawen Arab氏と共同でLimaを創立したSeverin Marcombes氏は、「Limaは、コンテンツをデバイスではなくユーザー自身に結びつけることで、デバイスの働きを劇的に変える製品だ」と述べている。
この製品は「Dropbox」やその他のクラウドストレージサービスと比較されることが多いが、同氏らはその違いを指摘する。Dropboxは仮想的なUSBキーと言うべきもので、インターネット経由でアクセスでき、ファイルは手動でコピーする。また、Dropboxは月額レンタルのサービスであり、これはユーザーがストレージを所有していないことを意味する。
Marcombes氏によれば、プライベートデータセンターのようにファイルをローカルに保存するLimaは、クラウドより一歩進んだものだという。「Limaは複数のデバイスで利用できる共有フォルダではない。これは各デバイスのストレージをすべて集めたものだ。Limaはユーザーを中心とするパラダイムへの完全な変化を意味する。Limaの魔法は、デバイスがファイルを保存する方法を変えることで、ユーザーが習慣を変えなくても、すべてのデバイスが同じ参照ストレージを使用できるようにするソフトウェアにある」と同氏は述べている。
Limaはルーターに接続されるため、クラウドと同じように、ユーザーは世界のどこからでもLima上のファイルにアクセスできる。どのデバイスからでも、すべてのコンテンツにアクセス可能で、ファイルは同じ形で整理されているように見える。このサービスを使うと、デバイスがネットに接続されていれば、スマートフォンからでもデスクトップPCからでも、すべてのコンテンツにアクセスできるようになるため、デバイスのストレージサイズは重要な問題ではなくなってしまう。
また、このシステムを使えば、仲間と共同作業をする際、大きなファイルでもすぐに送ることができ、サイズの制限を心配をする必要もない。さらに、データを常にバックアップされた状態に保つことができる。Limaは各ファイルの古いバージョンを維持しており、開発チームによれば「2クリック」でアクセスできる。