今週の明言

マイクロソフトが説く「プロアクティブなセキュリティ対策」

松岡功

2015-02-27 12:00

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長と、米MarketoのPhil Fernandez CEOの発言を紹介する。

「サイバーセキュリティ対策はプロアクティブに取り組むことが重要である」
(日本マイクロソフト 樋口泰行 代表執行役社長)


日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長

 日本マイクロソフトが先ごろ、サイバーセキュリティに関する情報発信拠点「マイクロソフト サイバークライムセンター 日本サテライト」を同社の品川本社オフィス内に開設したと発表した。樋口氏の冒頭の発言は、その発表会見で、サイバーセキュリティへの取り組み姿勢について語ったものである。

 サイバークライムセンターは、2013年11月に米Microsoftが本社内に開設したサイバー犯罪対策/研究施設で、法律専門家や技術捜査員、データ分析専門家などからなる専門部隊が、世界中のマルウェアやボットネットの監視および情報収集を行っている。さらに政府機関や企業などと連携して、法的措置などによりボットネットを破壊させる「テイクダウン」にも取り組んでいる。

 日本サテライトでは、米国本社のサイバークライムセンターが収集・解析しているサイバー脅威の中から日本に関する情報を、国内セキュリティ関連団体を通じて公表していくとしている。

 樋口氏は日本サテライトを開設した意義について、「IT基盤のソフトウェアを提供している当社としては、顧客企業はもちろん、社会全体のIT基盤をセキュアにするという使命を担っていると心得ている。サイバーセキュリティの脅威がますます高度化している中で、日本でもリアクティブな対応だけでなく、プロアクティブに政府や関係機関と連携しながら対策に取り組んでいく必要がある。日本サテライトはその役割を担う」と説明した。冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。

 日本サテライトは、ワシントンDC、ベルリン、北京、シンガポールに続き、世界で5番目に開設されたサテライトとなる。

 具体的な役割としては、「サイバー犯罪の脅威についての情報発信基地」「最新データから日本のマルウェアの情報や状況を分析」「サイバー攻撃の傾向などの情報を公表」「顧客やパートナー企業へ信頼できるクラウドとセキュリティのベストプラクティスを周知」「クラウド上で提供される児童ポルノ画像検出技術を適用したツールにより、オンライン上の児童ポルノなどの犯罪を防止」「デジタルクライム専門部隊との連携でサイバー犯罪抑止に貢献」といった点を担うとしている。

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