これまでセキュリティ対策と言えば、ネットワークやエンドポイントに適応するツールを設置するというイメージが強かったが、ここにきてIT基盤とより密接に連携、あるいは一体となって取り組む動きが活発化してきたと感じる。今回の日本マイクロソフトの取り組みも、そうした動きを象徴したものと言えそうだ。
「“個客”と長期的な関係を築く“エンゲージメントマーケティング”を勧めたい」 (米Marketo Phil Fernandez CEO)
米MarketoのPhil Fernandez CEO
マーケティング自動化ソフトウェアをSaaS型クラウドサービスで提供する米Marketoが先ごろ、日本市場への取り組みをはじめとした事業戦略について記者会見を開いた。Phil Fernandez(フィル・フェルナンデス)氏の冒頭の発言は、その記者会見で、同社サービスの最大の特長である「エンゲージメントマーケティング」を広めたいとの思いを語ったものである。
Marketoはデジタルマーケティング分野において、マーケティングの自動化を図るSaaSを手掛けるベンチャー企業である。2007年の創業以来、39カ国でおよそ3800社の導入実績があるという。2014年12月期の売上高は1億5000万ドルで、前期比56%の伸長を果たした。2014年3月には日本法人マルケトも開設。日本でも現時点でおよそ100社の導入実績があり、今後、日本法人の体制を大幅に強化して、今年内に顧客数の倍増を目指すとしている。
Fernandez氏はマーケティング分野の変遷について、「かつてはテレビや新聞での広告展開に代表されるマスマーケティングが主流だったが、デジタル化の進展に伴って“個客”を対象にしたマーケティング手法が広く使われるようになってきた。
だが、これも直近のレスポンスだけに着目したケースが多く、最近では個客と長期的な関係を築く新たな手法が求められるようにきた。そこで当社が提案しているのがエンゲージメントマーケティングだ」と説明した。
では、なぜ同社が提案するエンゲージメントマーケティングの手法だと、個客と長期的な関係を築くことができるのか。 Fernandez氏によると、「スマートデバイスやソーシャルメディアなどさまざまなチャネルを駆使して、個客の嗜好や行動を継続してきめ細かく捉えて分析し、個客から共感を得る仕組みを作り上げているからだ」と言う。
さらに同氏は「そこまで徹底した顧客指向でデジタルマーケティングを展開できるサービスは他にないと自負している」と自信のほどを示した。
ベンチャー企業の“尖った技術”にはワクワクさせられる。ただ、デジタルマーケティングは成長市場であることから、IBMやOracle、Salesforce.comといった大手ベンダーも競合するサービスを打ち出し、激戦区となりつつある。果たしてMarketoがどこまで存在感を高めることができるか、注目しておきたい。