何と悲惨なことだ。Secure Socket Layer(SSL)とTransport Layer Security(TLS)のセキュリティホールである「FREAK」が存在するのは、AppleのSSL実装や古いOpenSSLを使用するプログラムだけではない。Microsoftの「Secure Channel」(「SChannel」)スタックにも存在することが明らかになった。
セキュリティに関する約20年前の誤った決定が原因で、FREAKを悪用すれば中間者攻撃の実行が可能になる。Avectoのコンサルタンシー&テクノロジサービス担当エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)を務めるAndrew Avanessian氏は、電子メールで筆者に次のように語った。「FREAK攻撃は、セキュリティの問題がどれほど遠い過去から尾を引いているかを示す明白な証拠だ。新しいテクノロジが登場し、暗号技術が強固になっても、多くの場合、単に新しいソリューションが付け足されるだけで、古い脆弱なテクノロジが取り除かれることはない。そのため、構築しようとしているセキュリティモデルが事実上、弱体化してしまう」
ユーザーにできること
自宅でセキュリティ対策を実施している人のために紹介しておくと、FREAKを突かれて攻撃される可能性のある現行プログラムの最新リストには、「Windows Vista」「Windows 7」「Windows 8」「Windows 8.1」「Windows Server 2003」にインストールされた「Internet Explorer」(IE)など、SSL/TLSを使うMicrosoftのすべてのプログラムが含まれる。Microsoftは言及していないが、「Windows XP」など、広範なサポートが終了しているOSも影響を受けると考えていいだろう。
「Windows Server 2008」と「Windows Server 2012」も、サーバではなくデスクトップとして使用する場合は、攻撃を受けるおそれがある。サーバとして使用する場合は、FREAKの弱点である古い輸出用のSSL暗号がサポートされないため、デフォルト設定で安全だ。ただし、Server 2003はこれらの脆弱なSSL暗号鍵をサポートしており、それを無効にする方法はない。
さらに、この年季が入ったFREAKセキュリティホールを最初に発見したmiTLSチームによると、以下のSSL/TLSクライアントライブラリが影響を受けるという。
- OpenSSL(CVE-2015-0204):1.0.1kより前のバージョン。
- BoringSSL:2014年11月10日より前のバージョン。
- LibReSSL:2.1.2より前のバージョン。
- SecureTransport:影響を受ける。現在、修正をテスト中。
- SChannel:影響を受ける。現在、修正をテスト中。
これらのTLSライブラリを使用するウェブブラウザは攻撃を受けやすい。以下のブラウザが含まれる。
- 各種プラットフォーム向け「Google Chrome」の41より前のバージョンは影響を受ける。
- Internet Explorer。パッチの公開を待つか、「Firefox」や「Google Chrome 41」に乗り換えよう。あるいは、下で詳しく説明しているように、「Group Policy Object Editor(グループ ポリシー オブジェクト エディター)」を使ってRSA鍵交換を無効にする必要がある。
- 「Safari」は影響を受ける。パッチの公開を待つか、FirefoxやChrome 41に乗り換えよう。
- 「Android Browser」は影響を受ける。Chrome 41に乗り換えよう。
- 「Blackberry Browser」は影響を受ける。パッチの公開を待つ必要がある。
- 「Opera」の「Mac」版と「Android」版は影響を受ける。(安定版が登場したら)「Opera 28」にアップデートするか、Chrome 41に乗り換えよう。
自分が使っているクライアントシステムが影響を受けるかどうかを確認するには、「FREAK Attack Client Check」を実行するといい。
AppleとGoogleは修正をリリースすると即座に発表したが、悪い知らせもある。GoogleがAndroid Browser向けに修正をリリースしても、ユーザーは電話会社やデバイスOEMが自分のスマートフォンやタブレット向けにパッチを提供するまで待つ必要がある。
そのため、今も多くのプログラムが攻撃の危険にさらされている。それらの問題の修復に取りかかろう。