独SUSEは、IaaS環境構築管理ソフトウェアの新版「SUSE OpenStack Cloud 5」を3月11日から提供している。オープンソースソフトウェア(OSS)の「OpenStack」の最新版(コードネーム「Juno」)をベースにしている。
OpenStack Cloud 5(旧SUSE Cloud)は、ネットワーキングの柔軟性と運用効率を高めることでプライベートクラウドのシンプルなインフラ管理を実現できるという。企業向けLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server(SLES) 12」や分散ストレージソフトウェア「SUSE Enterprise Storage」と連携する。
OpenStack Cloud 5では、新たなネットワーキング機能とサードパーティのOpenStackネットワーキングプラグインのサポートが加わった。特に、分散仮想ルーティングの実装に対応しており、個々のコンピュートノードは、ルーティングのタスクを個別もしくはクラスタとして処理できるという。
OpenStack Cloudのインストールでは、分散仮想ルーティングの構成で、コンピュートノードの追加に応じてネットワークを自動的に拡張できると説明。また中央ルータを通じたトラフィックが削減し、単一障害点(Single Point of Failure:SPOF)の発生も抑えられ、拡張性や性能、可用性が向上しているとしている。
OpenStack Cloudはインストールフレームワークが強化されており、プライベートクラウドの外で実行中の既存のサーバをクラウド環境へとシームレスに組み込めると説明。ログの収集や検索を集中管理するため、クラウド管理者はクラウド業務を一元的に把握でき、問題の解決速度も向上するという。
OpenStack Cloud 5は、クラウド内のコンピュートノードとしてSLES 12をサポートしており、ハイパーバイザの「KVM」と「Xen」の最新版を利用できる。SLES 12のノードはSLES 11 SP3のノードとも共存。OpenStack Cloud 5は、最近発表された、OSSのオブジェクトストレージとファイルシステムである「Ceph」ベースのEnterprise Storageとも連携する。これまでのOpenStack Cloudと同様、Cephコンポーネントを手軽にインストールできるとしている。
大半のワークロードで必要となる追加サービスについては、サービス形態モデルを標準化することで、こうしたサービスをユーザー側で管理、構成する必要がなくなり、インストール作業をよりシンプル、迅速に行える。サービス導入をシンプルにすることで開発作業やビッグデータにあわわせた形でプライベートクラウドを容易に導入できる。
OpenStack Cloud 5は、データ処理サービス「Sahara」も搭載されている。分散並列処理プログラミングフレームワークのフレームワーク「Apache Hadoop」とHadoopと強調して動作するインメモリコンピューティングフレーム「Apache Spark」などデータ集約型アプリケーションクラスタも簡単にプロビジョニングできると説明。SUSEでは、これまでも「MapR Sahara」プラグインを使用したOpenStack Cloud環境で動作する「MapR Enterprise」のサポートをMapRと共同で提供してきた。