「OpenStack」クラウドプラットフォーム上で「Docker」コンテナのクラスタ管理ツール「Kubernetes」を利用するには、これまで困難がつきまとっていた。しかしMirantisとGoogleによる統合作業のおかげで、より容易に利用できるようになるはずだ。
OpenStack関連のソフトウェアやサービスを手がける企業であるMirantisと、検索分野の大手企業というだけでなく今やクラウド分野の大手企業にもなった、Kubernetesの開発元であるGoogleが協力したことにより、Dockerコンテナソフトウェアを、OpenStackのアプリケーションカタログである「Murano」内で「ポイント&クリックするだけで利用できる」ようにした。
その目的は、開発者がMuranoを用いることで、OpenStackのプライベートクラウドと、「Google Cloud Platform」のようなKubernetesをサポートするパブリッククラウドとの間でワークロードを移動できるようにするというものだ。
Mirantisの最高経営責任者(CEO)Adrian Ionel氏は「Kubernetes自体、その配備は簡単ではない。極めて深い専門家レベルの知識が必要となるが、ほとんどの開発者はそのような知識を持ち合わせていない。今回の両社の協力を通じて、そしてMuranoで実現しようとしている目標は、すべてを極限までシンプルにし、開発者が自ら構築したい機能に専念できるようにすることだ」と述べている。
Mirantisの最高経営責任者(CEO)Adrian Ionel氏。
提供: Mirantis
「開発者はコンテナのオーケストレーションやネットワーキング、ストレージ、そしてそれらを下支えしている低レベルのさまざまなものごとに煩わされる必要がなくなる。視覚性に富んだオーケストレータだけを使って必要なコンポーネントやコンテナを選択し、Kubernetesを介して即座に配備できるようになる。このため、何時間もかけてスクリプトを記述したり、どのようにすればよいのか悩んだりせずに済むようになり、導入後すぐにポイント&クリックによるビジュアルエクスペリエンスを手にできる」(Ionel氏)
OpenStackは、2010年にRackspaceとNASAによって開始されたオープンソースプロジェクト。その目的は、一般的なハードウェア上で稼働するパブリッククラウドやプライベートクラウドを構築するためのコンポーネントを開発することだ。
OpenStackは現在では、Cisco SystemsやDell、Hewlett-Packard(HP)、IBM、Intel、Oracle、Red Hat、VMwareなど、200を超えるベンダーによって支持されており、大規模な開発者コミュニティーは緩やかに結びついたさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。MirantisはOpenStackプロジェクトの立ち上げ時からのメンバーだ。
Dockerにより、コンテナ内におけるアプリの作成や開発が自動化される。コンテナは仮想化の軽量版であり、開発者をソフトウェアやインフラへの依存から解放し、コストを低減し、プロセスの効率を向上させることを目標にしている。