Ionel氏は「Kubernetesはコンテナのクラスタに対する管理機能に特化しているものの、基盤となるインフラや高度なチューニングが施されたネットワークトポロジーに対する管理機能は搭載していない。Muranoはそういった機能をもたらすものだ」と述べている。
「Muranoはネットワーク、そしてセキュリティのプロビジョニングを行う。これはコンテナのネットワーク全体と、基盤となるインフラに対してきめ細かい制御と詳細のレベルを追加するものだ。またこれによって、KubernetesのPod(すなわちKubernetesのクラスタ)のプロビジョニングがオンデマンドで自動化されるため、開発者が必要に応じて複数のPodを同時に稼働させることもできる」(Ionel氏)
OpenStackの「StackForge」プロジェクトであるMuranoは、多階層のソフトウェアや分散ソフトウェアの複雑な配備を簡素化するために、アプリケーション設定用のウィザードを提供している。またMuranoは、多階層アプリケーションのインフラリソースを設定するためにOpenStackのクラウドオーケストレーションエンジンである「Heat」を使用している。
MirantisとGoogleが実現した統合によって、MuranoはKubernetesのクラスタ向けの基盤となるネットワークを自動的に設定できるようになり、OpenStackのロードバランサとファイアウォールの統合がもたらされることになる。そして、Kubernetesクラスタ上にDockerアプリケーションを配備し、監視サービスとログの収集サービスをリンクする。
Ionel氏によると、MirantisとGoogle(両社はカリフォルニア州マウンテンビューの近い場所に拠点を構えている)の提携によるKubernetesとMuranoの連携によってDockerの普及にポジティブな影響がもたらされるだろうという。
同氏は「Dockerの長期的な成功に向けた鍵は、現状では小規模な環境への配備がほとんどだが、そこからエンタープライズ規模の本番環境へと軸足を移すところにある」と述べた。
「OpenStackとKubernetes、そしてGoogleはすべて大規模本番環境に目を向けている。このことがDockerに対してセキュアなネットワーキングやセキュアなオーケストレーション、サービス品質保証(SLA)の確約、コンテナ/仮想マシン/ベアメタルの組み合わせにおける鍵となる機能をもたらすのだ」(Ionel氏)
「こういったことが言えるのは、世の中にある大規模なワークロードは純粋なコンテナのワークロードでないためである。これらのワークロードはコンテナや仮想マシン、ベアメタルが組み合わさったものだ。これこそOpenStackが促進しようとしていることなのだ」(Ionel氏)
Ionel氏によると、Kubernetesに関するGoogleとの協力関係の成果はオープンソースとしてコミュニティーに還元され、そのことはOpenStackに専念し、あらゆる取り組みをコミュニティーに捧げるというMirantisの哲学に一致する。
また、MuranoとKubernetesとの統合の成果のエンタープライズ版も「Mirantis OpenStack」の一部として、同社のすべての顧客に提供される予定だという。このソフトウェアは2015年4月に「Mirantis OpenStack Express」上で、テクニカルプレビュー版が利用可能になる予定であり、米国時間2月25日の「Bay Area Kubernetes Meetup」でデモが実施されることになっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。