米Red HatとNECは2月10日、オープンソースソフトウェア(OSS)のIaaS環境構築管理ソフトウェア「OpenStack」上でキャリアグレードのネットワーク機能仮想化(Network Functions Virtualization:NFV)システムを実現するために共同開発を進めていることを公表した。共同開発したNFV対応機能はOpenStackディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHEL OSP)」にも実装されているという。
両社は10年以上OSSの共同開発で協業している。ここ数年は、通信ネットワークに関するNECの知識を活用したNFVシステムとOpenStackの統合作業に重点を置いてきた。
NECのネットワークとIT両面で蓄積されたノウハウとグローバルで進めている通信キャリアとの共同NFVプロジェクトでの経験は、OpenStackのNFV対応機能開発に生かされていると説明。それらはRHEL OSPに統合され、通信キャリアが仮想化に移行できるよう設計されている。
これによって、データプレーン開発キット(DPDK)によるデータプレーンの高速化を含む、OpenStackとハイパーバイザ「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」のNFV機能の高速化が可能になり、キャリアグレード/キャリアスケールのシステムを実現しているという。
これらの活動成果はOpenStackコミュニティへ還元され、RHEL OSPは、NFVのための主要クラウドプラットフォームとして活用できる。この協業の直接的な結果として生まれたNFV機能のいくつかはOpenStack の「Juno」リリースに含まれており、また次の「Kilo」リリースでの実装が予定されている。
今回は、信頼性が高く、オープンでスケーラブルなOpenStackベースの通信キャリア向けクラウドプラットフォームを実現し、NFVの普及を目指すと解説。OpenStackベースのクラウドプラットフォーム上で実現されるNECのNFV技術には“モバイルパケットコア仮想化(virtualized Evolved Packet Core:vEPC)や“ユーザー宅内装置の仮想化(virtualized Customer Premises Equipment:vCPE)”などがある。
NECとRed Hatは協業関係を継続し、RHEL OSPとNFVの統合と最適化、OpenStackとOpen Platform for NFV(OPNFV)を含むOSSコミュニティへの貢献を続けていくとしている。