KVHは7月29日、ミドクラジャパンのネットワーク仮想化ソフトウェア「MidoNet」を採用したIaaS「プライベートクラウド Type-S」の発売を開始した。同社がこれまで提供してきたプライベートクラウドサービスのラインアップを拡充するもので、税別価格は初期費用が100万円から、月額費用が100万円から。サービス提供開始時期は個別対応となっている。
MidoNetは、SDNと“ネットワーク機能仮想化(Network Functions Virtualization:NFV)”に対応するソフトウェア。物理的なネットワークから仮想ネットワークを完全に分離させることで柔軟に仮想ネットワークを作成する機能を提供する。レイヤ2~4のネットワーク機能も含めてクラウドを統合管理できる。
KVHがこれまで提供してきたプライベートクラウドサービスは、クラウドコントローラオーケストレーションエンジンとして自社開発の「KVH Turbine」を活用してきたが、今回はオープンソースのIaaS環境構築管理ソフトウェア「OpenStack」も活用している。
発売を開始したプライベートクラウド Type-Sは、サーバやストレージ、L2ネットワークをOpenStackで制御し、ファイアウォール(FW)やL3スイッチ、負荷分散(ロードバランサ)といった機能をMidoNetで制御する。
MidoNetはL2で仮想分散スイッチング、L3で仮想分散ルーティング、L4で分散型のL4ロードバランサの機能を提供する(ロードバランサは年内提供を予定)。MidoNetのメリットについてKVHは、分散処理でのルーティングパスを最適化できるとし、ネットワーク機器を追加してもコストを削減できると説明する。セキュリティポリシーも一元的に管理できるようにもなるという。今回のサービスではOpenStackと連携しているために、ネットワークも含めてクラウド環境を一元管理できることが強みと強調している。
プライベートクラウド Type-Sのサービス概要(KVH提供)
プライベートクラウド Type-SでのOpenStackは、MidoNetとハイパーバイザとAPIで連携している。MidoNetでルーティングやネットワーク、FW、DHCPなどを設定し、ハイパーバイザで仮想マシンの作成やマイグレーションなどを成業する。プライベートクラウド Type-Sのユーザー企業は、OpenStack上の管理コンソールからストレージ管理やネットワーク管理などを含めてクラウド環境全体を制御できるようになっている。
今回、OpenStackを採用したのは、将来的にSDNを適用するネットワークサービス「etherXEN」、アジアの主要100のデータセンター間をキャリアクラスのEthernetで接続する「DCNet」と相互連携することを見据えているためだ。
プライベートクラウド Type-Sの操作イメージ(KVH提供)