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松岡功の一言もの申す

IBMが「エクスペリエンス」に注力する理由

松岡功

2015-03-26 11:26

 IBMが「インタラクティブエクスペリエンス」事業に本腰を入れ始めた。同社にとっては不得手とも見受けられる分野だが、なぜ注力するのか。

IBMが推進する「インタラクティブエクスペリエンス」とは

 「IBMは2014年、インタラクティブエクスペリエンス事業に1億ドル以上の投資を行い、この分野に精通した人材を1000人以上投入した。なぜならば、IBMはこれからモバイル分野を中心としたインタラクティブエクスペリエンスにおいて、最高のものを提供するベンダーになりたいからだ」


日本IBM取締役専務執行役員のCameron Art氏

 日本IBM取締役専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス(GBS)事業本部長のCameron Art氏は、同社が3月24日に開いたインタラクティブエクスペリエンス事業に関する記者説明会でこう語った。

 インタラクティブエクスペリエンスとは、例えば企業の場合、その顧客が素晴らしいと感じる体験をデジタルで提供する表現方法である。ベンダーによっては「カスタマーエクスペリエンス」とも「ユーザーエクスペリエンス」とも言うが、いずれにしてもキーワードは「体験」を意味する「エクスペリエンス」だ。

 米IBMは2014年初め、デジタルインタラクティブ関連部門とモバイル部門を統合してインタラクティブエクスペリエンス事業部門を発足。日本IBMも今年1月に同様の組織を設けた。

 インタラクティブエクスペリエンス事業部門では、オムニチャネルやデジタルマーケティング、顧客やソーシャルメディアの分析、ユーザビリティの設計、各種デザイン、ワークスタイルの変革、モバイルアプリの開発・運用・保守など、まさしくエクスペリエンスに関連する幅広い事業を推進するという。

 インタラクティブエクスペリエンス事業におけるIBMの取り組みの詳細については関連記事を参照いただくとして、ここでは、同社がこの事業に注力する理由に注目したい。

モバイルが主戦場に


日本IBMインタラクティブエクスペリエンス事業担当の工藤晶氏

 IBMの今回の新たな動きのミソとなるのは、いわばエクスペリエンスとモバイルを統合したことだ。この点について、日本IBM GBS事業本部インタラクティブエクスペリエンス事業担当の工藤晶氏は、「これからのビジネスではモバイルが大きな役割を果たす。したがって、インタラクティブエクスペリエンスの主戦場はモバイルになる」と語った。これが組織統合、さらには同社がこの事業に注力する理由である。

 IBMのモバイル事業は、2014年7月に戦略提携した米Appleとの協業が軸となっている。この提携の成果として、IBMはこのほど7種類の「IBM MobileFirst for iOS」アプリケーションも投入した。見方によっては、エクスペリエンスレベルの高いAppleのノウハウをうまく取り込んでいるようにも受け取れる。

 さらにIBMは3月10日(米国時間)、この分野で米Adobe Systemsとの戦略提携も発表した(関連記事参照)。AdobeもAppleと同様、エクスペリエンスレベルの高い製品やサービスを展開している。

 筆者には、IBMはこれまでエクペリエンスにはあまり力を入れず、不得手のように映っていた。しかし、モバイルがビジネスにも大きな影響を及ぼすようになってきた中で、いよいよ同社も本腰を入れ始めたというのが、率直な印象だ。

 会見後にそうした印象を工藤氏に話したところ、「いや、実はIBMもかなり前からこの分野の研究を続けてきており、その成果がここにきて前面に出てきた格好だ。あまり知られていないので、不得手に見られているかもしれないが、これからはIBMのイメージも変わっていく。AppleやAdobeをはじめとして、この分野でのパートナーシップもどんどん広げていくつもりだ」とのコメントが返ってきた。

 それにしても、デジタルによるエクスペリエンスレベルではトップクラスのAppleおよびAdobeと相次いで戦略提携するあたり、IBMのしたたかさを改めて感じさせられた。果たして、トラディショナルなIBMのイメージがどう変わるか、注目しておきたい。

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