山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

あの世の故人にiPhoneやiPadまで送る、中国の「清明節」 - (page 2)

山谷剛史

2015-04-14 06:00

 同様の発想で、あの世でも故人が車に困らないようにと、紙製の車が比較的よく売られているほか、あまり見ないものでは、紙製の家や麻雀牌や家電も売られているという。


このパッケージには、iPhoneのほか、SDカードやルータ、イヤフォンが入っている(いずれも紙製)。

このパッケージには、白物家電とAV家電がはいっている(いずれも紙製)。

 冥幣絡みでは、清明節になると、違法の冥幣などの商品販売業者を警察が摘発するキャンペーンを、墓地周辺の貼り紙やネットメディアでよく目にするようになる。中国人自身も把握してないほど曖昧なのだが、印刷企業が正しい経営手続をとり、伝統行事用の冥幣を販売するなら合法なのだとか。たとえば中国ではニセ札発行は違法であり、日本にある「こども銀行」発行のおもちゃのお金程度のものでも違法である。かといって毛沢東が印刷されている、天地銀行発行の燃やすための100元札が違法かというとそれは明記されておらず、なんとも悩ましい。

 あの世を信じて冥幣などを燃やしているのかといえば、中年以上は熱心に伝統を重んじて実行しているように見えるが、ネット世代の若年層はあまり熱心ではないようだ。中国のネットメディアは、特に伝統が残る農村部での、都市部の人々から見ればやりすぎに見える清明節での燃やす様を紹介し、冷笑を促している。

 海外の目を気にし、モラル改善が進む中国で、清明節でのちょっとずれた行為も改善すべきという雰囲気となっている(本記事によって恥ずべき文化は改善すべきと思う中国人もいるだろう)。あの世で使うiPhoneやノートパソコンも、やがて時代の遺物となっていくのかもしれない。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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