辛酸をなめたノキアとアルカテルが合併で目指すもの

Jo Best (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-04-20 06:15

 Alcatel-LucentとNokiaはどちらも、ここ数年は困難な時期を過ごしてきた。Alcatel-Lucentは組織再編、Nokiaは困難な統合と相当な規模の事業売却を行ってきた。現在、156億ユーロでの合併(NokiaによるAlcatel-Lucentの買収)を予定しているこの2社は、過去の教訓から学んできたと主張している。

 Alcatel-Lucentの最高経営責任者(CEO)のMichel Combes氏は、次のように述べている。「それぞれ異なる利害関係者に対して長期的な価値を創出できる、力強いプロジェクトになると確信している。これは適切なタイミングでの、適切な組み合わせだ。実際に世界全体に進出する欧州の王者を誕生させる、またとない機会だ」

 合併後の会社(社名はNokiaになる予定)は確かに欧州の王者になるかもしれないが、このところは普通よりも多くの困難に直面してきた王者ということになる。Alcatel-Lucentは、経営危機に見舞われてからわずか2年でこの合併に臨む。その危機に際して、同社は「The Shift Plan」と呼ばれる再建計画を実施した。The Shift Planの最初の作業は、同社のバランスシートを立て直し、経営効率を向上させ、破産の不安を解消することだった。この計画はまだ完了していないが、Alcatel-Lucentのキャッシュフローは何年かぶりにプラスに転じている。

 Nokiaも混乱の時期を経てきた。スマートフォン市場での不調が原因で、同社は携帯電話事業をMicrosoftに売却し、何度か人員を削減してきた。Nokiaが最近ネットワークに関して行った大きな動きと言えば、Siemensとの合弁企業であるNokia Siemens Networks(NSN)を設立し、後にこのドイツのライバル会社の持ち株を買い取るとともに、8000人の人員を削減したことだが、こうした動きがもたらした不安は、Nokiaという会社の記憶にいまだに大きく影を落としている。

 両社は今では、こうした過去の経験があったおかげで、この先に待ち受けている課題を認識できるのだと主張している。

 NokiaのCEOのRajeev Suri氏は「自分は、(NSNの)教訓の良い面も悪い面も経験してきたため、間違いという点では何を繰り返さないようにすべきかを正しく理解している。われわれはすぐに全力で取り組むつもりだ」と述べている。同社は統合を進めるための役員会の設立に着手すると述べ、「これとは別に、現在の事業に専念する経営陣を設け、事業がおそろかにならないようにする」としている。

 「Alcatel-LucentとNokia Networksはどちらもこの2年間で、市場を制するために適切なガバナンスモデルと適切な経営モデルを構築するという点において、過去7年間とは対照的に、かなり力をつけている。その7年のうち、最初の5年間は極めて難しい状況だった」(Suri氏)

 「ガバナンスは明確だ。これは合弁事業ではなく、役員会の中で対立するような状況もない。そのため、われわれは事業を運営する上で、駆け引きをしたり、無意味なアプローチを取ったりせずにすむ」(Suri氏)

 Suri氏はCEOに任命されて間もなく、大規模な買収には慎重なアプローチを取ると述べていた。では何が変わったのだろうか。

過去に学ぶ

 Suri氏によれば、クラウドへの移行と同様に、モバイル市場の統合が進んだ時期があったために、Nokiaは自社の固定回線事業を強化する必要が出てきたのだという。

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