NEC2014年度決算:ビッグローブ非連結化で減収も増益

怒賀新也 (編集部)

2015-04-28 18:50

 NECは4月28日、2014年度連結決算を発表した。売上高は、NECビッグローブを非連結化した影響などから対前年度比3.5%減の2兆9355億円。一方、営業利益は同20.6%増の1281億円、経常利益は同62.1%増の1121億円、当期純利益は同69.8%増の573億円と数字を伸ばした。

 公庁や公共系を中心にしたパブリック部門の売上高が同11.3%増の8219億円、営業利益は9.1%増の748億円と全体をけん引した。官公庁向けが伸びた一方で、不採算案件が減ったことも寄与した。

 今後は、マイナンバー制度対応、東京五輪関連、顔認証システムや群衆行動解析などのビッグデータ活用による社会づくりに貢献するとしている。また、グローバルでは、重要施設向け安全運転支援システムや水管理、空港向けシステム、認証などのサイバーセキュリティにも注力する。

 2015年度の通期売上高は、2014年度比5.2%増の8650億円、営業利益は15%増の860億円を見込んでいる。

 流通・サービス業や製造業などのエンタープライズ部門の売上高は対前年度比0.7%減の2705億円、営業利益は同3.1%増の83億円だった。売り上げは減ったが、コスト削減と収益性改善によって増益を確保した。

 「足もとの受注は回復傾向にあり、収益性改善に注力する」としている。2015年度は、製造業向け、流通/サービス向けともに2014年度比で増加を見込む。売上高は7.2%増の2900億円、営業利益は32.5%増の110億円と予想している。

 通信事業者などを中心にしたテレコムキャリア部門の2014年度通期売上高は2%増の7402億円、営業利益は2.8%増の620億円だった。国内は横ばいだったが、海外の海洋システムやモバイルバックホールが伸びた。海外を中心とした売上増により増益を果たした。

 SDN商用化が遅れたことがマイナス要因だったが、NetCrackeerとのグローバルでの拡販体制強化により、案件の増加を見込む。2015年度は、売上高で前年度比5.4%増の7800億円、営業利益は3.2%増の640億円と予想する。

 PCやサーバといったハードウェアなどのシステムプラットフォームの売上高は、対前年度比6.6%減の7289億円、営業利益は同2.9%増の314億円だった。企業向けPCの不振で売上高は減ったが、NECフィールディングとNECプラットフォームズを統合したことの効果により、増益だった。

 2015年度は売上高で同4.3%増の7600億円、営業利益は5.1%増の330億円を予想する。マイナンバーやWindows Server 2003の更新需要の取り込み、国内SDN市場の伸びと海外への横展開、IoTを軸にしたプラットフォーム構築事業に期待を寄せている。

 その他の売上高は、対前年度比28.9%減の3741億円だった。NECビッグローブの株式を売却したことによる非連結化の影響が大きかった。一方、営業損益は、携帯電話端末事業の改善などにより、前年度の14億円の赤字から40億円の黒字となった。

 2015年度は、電力システム改革への対応により、売上高として同8.2%増の4050億円、営業利益は横ばいの40億円を予想している。具体的には、新電力事業者向けパッケージソフトを利用したシステムインテグレーションや、ICTとエネルギー技術を合わせた蓄電システムの拡販を見込んでいる。

 全体を通じて、NECは中期経営計画の最終年度である2015年度を「成長の年」と位置づける。営業利益と当期純利益の会社計画を3年連続で達成しており、2015年度も継続し、「増配を実現したい」とした。

 また、国際会計基準(IFRS)への2016年度からの任意適用に向けて準備を開始している。

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