日立製作所は、UNIXサーバ「EP8000」シリーズのミッドレンジモデル「EP8000 E850」を追加し、5月21日から販売している。税別価格は3031万9000円から。7月31日から出荷する。
同モデルはエントリサーバクラスのコンパクトな4Uサイズ筐体。最新のRISCプロセッサ「POWER8」搭載で従来モデルの約1.8倍に処理性能を向上するとともに、システム拡張時や障害などに伴うシステム停止を防ぐ機能を搭載することで、ハイエンドクラスの柔軟性と信頼性を実現するという。
EP8000シリーズの全モデルでシステムの拡張性も強化した。基幹業務や社会インフラ向けシステムにおけるデータ量や規模の拡大に対応する。

EP8000シリーズ(日立製作所提供)
EP8000シリーズは、OSに「AIX」を採用。高性能、高信頼を特徴とし、金融機関をはじめとする企業の基幹業務や鉄道、電力などの社会インフラ向けシステムなどに多くの稼働実績を有している。
新モデルのE850は、従来ハイエンドモデルで提供している高い柔軟性、や信頼性を提供すると説明。具体的には、システムを稼働させたままサーバ上のプロセッサやメモリを柔軟に拡張できる“CUoD(Capacity Upgrade on Demand)”機能でシステムを停止することなく、急な業務負荷の変動や業務対象の拡大などに対応できるという。
ハードウェアリソースに応じ課金されるソフトウェアのライセンス費用を最適化できると説明。メモリ障害によるシステム停止を未然に防ぐ動的メモリ切替機能も搭載するなど、ハイエンドクラスの信頼性を確保し、基幹業務システムの24時間365日安定した稼働を支援するとしている。
POWER8プロセッサ(3.72GHz)を最大32ウェイまで搭載でき、従来モデルの約1.8倍となるトランザクション処理性能を実現すると説明。メモリを従来モデルの4倍となる最大2Tバイト、I/Oスロット(PCI Express 3.0準拠)を従来モデルの約2倍となる最大11本まで搭載可能とするなど、ハードウェアリソースも強化した。基幹業務システムの集約率を向上し、効率的な運用管理が可能となるため、システムの管理工数や保守コストを軽減できるとメリットを解説している。
筐体は、基幹業務システム向けUNIXサーバとしてはコンパクトな高さの4Uサイズ。設置スペースを削減できるため、設置面積や重量に応じて課金されるデータセンターの使用料などIT投資を削減できるという。
EP8000シリーズの強化では、ストレージやネットワーク接続などのI/O周辺機器を搭載するラック型筐体である“I/Oドロワ”の接続台数を全モデルで増強した。ハイエンドモデルの「EP8000 E880」では、プロセッサやメモリなどを搭載したサーバの基本となる筐体“CPUドロワ”の接続台数も増強した。
エントリモデルの「EP8000 S814」は1台、「EP8000 S824」では2台まで今回新規にI/Oドロワをサポートする。ミッドレンジのE850と「EP8000 E870」とE880では、CPUドロワ1台あたりのI/Oドロワ接続数を最大4台までサポートする。
E880では、SMP(Symmetric Multiple Processor)構成で接続できるCPUドロワ数を従来モデルの2倍となる最大4台に強化したことで、POWER8を従来モデルの2倍となる最大128ウェイ、メモリを従来モデルの2倍となる最大約16Tバイトまで拡張できるようになった。
これにより、大規模な基幹業務や勘定系、社会インフラシステムなどでさらなるシステム規模の拡大に対応。最大4台までCPUドロワを連結可能にしたEP8000 E880の出荷は8月末を予定している。