気象庁は地域気象観測システム(Automated Meteorological Data Acquisition System:AMeDAS=アメダス)を刷新した。新しいシステムではサーバ性能の向上でデータの集信頻度を高めるなどしており、より精度の高い気象情報を提供できるようになるという。富士通が5月19日に発表した。
AMeDASは24時間365日、全国約1300カ所の観測所や気象台、測候所などから降水量や風向、風速、気温、日照などの気象観測データを収集し、その品質チェックや統計値の計算などを担う。AMeDASで処理された気象観測データは、気象情報伝送処理システム(Automatic Data Editing and Switching System:ADESS=アデス)を経由して気象官署に配信され、特別警報や警報、注意報、天気予報などの発表に活用されている。
システムのイメージ(富士通提供)
今回のシステム刷新では、富士通のUNIXサーバ「SPARC M10-1」などの最新ハードウェアへ更新することで集信頻度を向上したほか、気象観測データの自動解析プログラムに不自然な気象観測データの自動検知機能を追加することで観測データの品質向上と業務効率化を実現すると説明。誤操作を防ぎ業務に必要な操作を減らすグラフィックユーザーインターフェース(GUI)も改良された。
SPARC M10-1の導入でデータの集信頻度を従来の10分ごとから1分ごとに向上。降水量や風速、気温、日照などの変化をより迅速にきめ細かく把握できるため、市民の生活や経済に大きな影響をおよぼす豪雨や突風の監視能力が向上するとメリットを説明している。
計測器設置場所の環境変化の影響で気象観測データが異常な値を示すことがあり、これまでは職員がデータを解析し、手作業で異常なデータを修正していた。新システムでは、気象庁が開発した、気象観測データの疑わしさを統計処理で算出する「審議値」を使って判定する機能を追加し、自動解析プログラムを強化することで異常なデータを迅速に検知できるようになっていると説明。気象観測データの品質向上と気象官署での業務効率化を実現するという。
富士通は2007年からAMeDASのシステム構築と運用支援を担っており、気象観測に携わる職員のニーズや要望、気象観測業務ノウハウを蓄積してきた。今回の刷新では監視端末をより使いやすくするため、そのノウハウを元に約200カ所のGUIを改良した。
視覚的に次の操作を推測しやすくすることで誤操作を防止し、少ない操作で業務を遂行できるUIを実現したという。例えば、被災時にバックアップ系システムへ切り替える作業の場合、従来は4回の画面切り替えが必要だったのに対し、今回のシステムでは1画面の操作で業務を完了できるとしている。