本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ソフォスの纐纈昌嗣 代表取締役社長と日本ユニシスの黒川茂 代表取締役社長の発言を紹介する。
「“セキュリティオートメーション”によってIT管理者の負担を大幅に軽減したい」 (ソフォス 纐纈昌嗣 代表取締役社長)
ソフォスの纐纈昌嗣 代表取締役社長
ソフォスが先ごろ、2016年会計年度(2016年3月期)の事業戦略を発表した。纐纈氏の冒頭の発言は、その発表会見で、同社が今後の戦略の中核に据えている「セキュリティオートメーション」の効果について強調したものである。
纐纈氏は2016年会計年度の重点戦略として、テクノロジー面ではセキュリティオートメーションの推進、製品面では「Sophos Cloud」や暗号化、モバイル領域でのポートフォリオの拡大、パートナー施策では「チャネルファースト」のさらなる強化とエンジニアの育成を挙げた。
とりわけ、同社特有の取り組みとして注目されるのが、昨年11月に発表したセキュリティオートメーションの推進だ。文字通り、セキュリティシステムの完全自動化を実現しようというものである。
同社では、エンドポイント製品やサーバ製品、ネットワーク製品を別個のものとして対策を講じるのではなく、それらを保護するセキュリティ機能が互いに自律連携する新たなセキュリティプラットフォーム構想を打ち出し、セキュリティオートメーションによる異常検知と防御の実現を目指している。
複数のセキュリティ機能をクラウドによってシンプルに管理する仕組みは、この次世代セキュリティプラットフォームの基盤となる重要な要素である。
纐纈氏によると、今年内には、管理する対象をファイアウォールや統合脅威管理(UTM)アプライアンスなどのネットワーク製品にも拡張し、セキュリティオートメーションを実現するクラウド型ソリューションの全容がほぼ整う形になるという(図参照)。
ソフォスが掲げる「セキュリティオートメーション」のロードマップ(出所:ソフォスの資料)
ソフォスがこうしたセキュリティオートメーションを手掛けることができるのは、エンドポイント製品やサーバ製品、ネットワーク製品をすべて取りそろえているからだ。
さらに、グローバルで有数の分析力を持つ研究機関「Sophos Labs」とともに、それらすべてのリソースをSophos Cloudによって迅速かつ柔軟に連携させて利用できるからである。
纐纈氏はセキュリティオートメーションの効果について、冒頭の発言とともに、「専任のIT管理者を置くことが難しい中小規模の企業でも、大手企業が適用しているセキュリティオペレーションセンター(SOC)に匹敵するサービスを自動で利用していただくことができる」と強調した。