IBMのコホートマーケティング戦略の目標は、個々の買い手のニーズを十分に理解して、買い手の個別の関心に合致する、意味のあるコンテンツを作成することだ。基準点は常に顧客である。
われわれはセグメントをそれほど重要視しなくなった。われわれが考えるのは個人のことである。個人に向けたマーケティング(が意味するのは)、役割内のコホートレベルで、セグメントを認識可能な購買行動に分解することだ。そのように自分たちのコンテンツを再定義した後、デジタルで発信し、それがどのように選択されて、使用されているのかを追跡する。
このアプローチはエンタープライズにおけるマーケティングの形を変えるものだ。従来、エンタープライズの購入サイクルは、綿密に提示されたベンダーのメッセージを中心に回っていたが、その結果としてRFP(提案依頼)プロセスとグループ購入の決定に至った。そのプロセス全体で、情報の流れが厳格にコントロールされ、買い手とベンダーがコミュニケーションを取る方法も管理されていた。
今日、プロバイダーは顧客の行動に関するデータを使って、コホートや見込み顧客で構成される極めて範囲の狭いグループまで、関連する問題を追跡して評価し、理解することができる。その結果、エンタープライズテクノロジベンダーは購入プロセスを形作り、それに影響を及ぼすことのできる強力無比な能力を手に入れた。
こうしたエンタープライズマーケティングを支えるのは製品知識と顧客に対する共感だ、とBrown氏は考えている。
買い手に対する共感の必要性は極めて大きい。買い手と、彼らが抱えている問題や、彼らが直面している困難、彼らの気づきに共感するコンテンツを実際に構築できるようになれば、それは差別化要因となる。
以前なら、自社の製品を理解して売り込む能力を備え、製品の機能と利点について話し、それをビジネスの問題に結びつけることができれば、優秀なマーケターになることができた。今はそれだけでは不十分だ。
現在では、買い手と彼らが直面する課題や問題、さまざまなことに対する彼らの考え方も同じように理解する必要がある。
同氏はこのアプローチを、顧客の関心事に対する共感的な理解に基づいて顧客を教育するものだと考える。
製品を理解することは、ユーザーに共感することと同等に重要なので、比率は50対50だ。しかし、考えられるさまざまなことについて教えることで、人々が行動を起こすことが増えている。
製品について理解し、ユーザーに共感し、それを教育という文脈に組み込む。教育をデジタルで行うのか、イベントで行うのか、コミュニティーサークルなどで行うのかは、重要ではない。
この教育というのは、授業計画の策定と同じように、明快でなければならない。つまり、コンテンツは明快でなければならない。これには全く別の要素もある。効果的なコミュニケーション、そして、明快かつ簡潔、正確に物事を伝える能力だ。
結論を言おう。デジタルマーケティングを成功に導く基盤は、製品知識と顧客への共感、そして教育だ。本物のソートリーダーシップも、これらの要素によって作られる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。