セールスフォース・ドットコムは7月3日、「Salesforce Marketing Cloud」のリリースから1年経ったことを記念して、イベントを開催した。Marketing Cloudを担当する米本社シニアバイスプレジデントでジェネラルマネージャーを務めるLee Hawksley氏が登壇。デジタルマーケティングを取り巻く現状について、「従来は社内で最もデータを持っている部門といえば財務部門だった。しかし現在は、マーケティングによって新しいデータが生まれている」と指摘した。
日本でもユーザー企業が順調に増加し、「日本では顧客情報一元化、顧客と接点を持つトリガーベースの作業自動化、マルチチャネル化といった要素から使っていただくことが多い。例えば資生堂が運営する“ワタシプラス(watashi+)”では、“この化粧品を購入した顧客は使い続ければこの時期に使い切る”というタイミングを見越して、そのタイミングをトリガーに顧客にアクセスする」(日本法人 執行役員 Salesforce Marketing Cloud本部 笹俊文氏)といった事例が生まれている。
Salesforce.com シニアバイスプレジデント&ジェネラルマネージャー Lee Hawksley氏
Marketing Cloudのユーザー企業であるトヨタメディアサービスは、デジタルマーケティング実践の場としてタイで実験的に活用。タイで開催されたモーターショーに向け、絞り込んで1900人の顧客にアクセスしてモーターショーに誘導したところ、「48台の自動車販売を実現した」(トヨタメディアサービス WEBマーケティング事業長 高橋和巳氏)と実績を挙げた。これを受け、日本でもMarketing Cloudを活用したデジタルマーケティング活動を強化する計画だ。
Marketing Cloudは7月3日付けで新版が日本で発表され、メールマーケティング機能の強化、次世代Journey Builder、次世代Active Audiencesが新機能として提供される。「当社の強みは、多くのユーザー企業を持っていることでダイレクトな意見を得られること。この製品もユーザー企業からのリクエストを受け、1000以上のエンハンストを実現している」(Hawksley氏)
セールスフォース・ドットコム 執行役員 Salesforce Marketing Cloud本部 笹俊文氏
Hawksley氏は、デジタル化の進展によってマーケティングだけでなく社会全体が大きな変化を遂げていると指摘。「破壊的な変化が起こっている。そこで成功している企業を見ると、まず顧客中心主義であることを挙げられる。さらに、プラットフォーム、アプリ、パートナーによるオープンなエコシステムが必要となる。Salesforceはこのリッチなエコシステムを持っている唯一の企業だ」とアピールした。
従来のようなセールス、サービス、マーケティング、コミュニティなど個々に顧客情報を持つのではなく、「サイロ化ではビジネスを進めることはできない。境界をなくして新しい形で顧客とつながる。顧客とつながる機会を増やすことは、大きなオポチュニティとなる」と部門ごとに顧客情報を持つ時代ではないとアピールした。
その上で顧客とつながるためのデータ活用が重要と説明。このデータを活用するポイントとして、(1)オーディエンス=顧客をコンシューマーと大きく括るのではなく、個人を識別できる個客として認識、(2)コンテンツ=マーケティングメッセージを響かせるための重要な要素、(3)パーソナライゼーション=新しいパーソナル化を行うタイミング――の3つがあると話した。
顧客とつながっていくことにも、従来とは異なり、リアルタイムにつながっていくことが必要となり、「これが競合優位性を生む」という。