中堅企業層に対しては「統合型ストレージ」や「ストレージ仮想化装置」を訴求する価値あり
年商規模による違いをみるため、年商50~100億円の「中堅Lクラス」、年商100~300億円の「中堅Mクラス」の、2つの年商帯における傾向を示したものが下のグラフとなる。

この中で「統合型ストレージ機器」および「ストレージ仮想化装置」に関して着目してみると、以下のような考察が導かれる。
まずファイルアクセスとブロックアクセスの双方をカバーできる「統合型ストレージ機器」は、ストレージ容量の無駄をなくすという点では非常に有効だが、ファイルアクセスはファイルサーバ用途として部門単位での管理、ブロックアクセスは業務システムの基盤として主に情シスや販社/SIerによる管理が多いといったケースも少なくないため、逆にリソース配分や役割分担が難しくなるという声もある。
このような背景から、「統合型ストレージ機器」は「IT管理/運用を担うことのできる部門も存在する一方で、ストレージ機器への投資をできる限り節約する必要がある」といったユーザー企業に適していると考えられる。
「統合型ストレージ機器」は年商100~300億円の中堅Mクラスにおいて13.9%と比較的高い回答割合を示しているが、同年商帯は上記に述べた属性に当てはまる企業規模といえる。したがって、「統合型ストレージ機器」を中堅・中小企業に向けて訴求したいと考えるメーカや販社/SIerにとっては中堅Mクラスが有望な訴求先になると考えられる。
一方、「ストレージ仮想化装置」を挙げる割合が、年商50~300億円の中堅企業クラス全体で1割強となっている。ここでの「ストレージ仮想化」とは既に存在する複数のストレージ機器へのアクセスを集約し、あたかも1台のストレージ機器であるかのように見せることを指す。
従来、「ストレージ仮想化装置」は大企業向けの高価なものだったが、昨今は中堅・中小企業も導入可能な価格帯が登場してきている。また、PCサーバをベースとしたファイルサーバを安価に導入できるようになったことで、中堅企業クラスではファイルサーバが乱立気味となり、社内に存在するデータ総量と比べてデータが分散しやすい傾向にある。
ファイルサーバは中堅企業クラスにおいても今後の導入が期待できるストレージ機器の形態であり、単に新たなストレージ機器の導入を提案するだけでなく、仮想化による既存ファイルサーバの統合を訴求することを検討する価値がある。