トップインタビュー

東京五輪までに小規模店舗もPCI DSSに準拠を--PCI SSCディレクター

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2015-07-09 13:38

 PCI Security Standards Council(PCI SSC)は、「PCI Data Security Standard(DSS)」をはじめとするセキュリティ標準の普及促進を図る標準化団体。PCI SSCのPCI SSCのインターナショナルディレクターであるJeremy King氏は、米国以外の地域におけるPCI基準の認知や採用を進める立場であるという。King氏に話を聞いた。

――PCI SSCはどんな団体か。来日の目的は。


PCI SSC インターナショナルディレクターJeremy King氏

 PCI SSCは、クレジットカード会社であるMasterCard、Visa、AmericanExpress、JCB、Discoverの5社によって2006年に共同で設立されました。目的は、カード会員のデータを保護する際のたくさんある基準を、1つにまとめたいというものでした。その多くの基準の中で最も有名な基準がPCI DSSです。

 PCI SSCでは、そういったセキュリティ基準の認知と導入促進や、セキュリティのプロの育成と資格認定、決済データセキュリティの緊急の需要をあらゆるレベルにおいて満たせることへの理解促進といったことを目的に活動しています。

 私の役割は、PCIの基準に対しての世界的な認知、理解、そして採用などを、米国以外の地域で進めていくということになります。今回、日本に来たのも、そのための教育という意味合いが強いです。

 現在、世界的に見るとクレジットカード利用率、特に購買取引額についてアジア太平洋地域で高成長が見込まれています。最近読んだレポートでは、Eコマースにおいてこの地域が世界最大規模だとされていました。ただ、不幸なことに全世界で犯罪組織が台頭し始めています。クレジットカード決済やその情報を狙って暗躍し、さまざまな手段によって重要な情報にアクセスし、不正利用しようとしています。

 また、日本市場は変化の時期といえます。2020年には東京五輪が開催されますし、五輪に向けて海外観光客のニーズを満たそうという試みも進んでいます。経済産業省においても、EMV(ICカードの統一規格)のカードやオンライン経由の決済、その他さまざまな変化に対応できるシステムへの移行を考えているといいます。

 3年前にロンドンで五輪が開催された際の大きな課題は、非接触型決済をいかに採用するかということでした。しかし、現在でも決済分野で新しいテクノロジが次々に登場しており、状況は大きく変わっています。2020年の東京では、非接触型決済のカードだけでなく、Apple PayやSamsung Payなど今後2~3年で出てくるような新しい決済技術にも対応しなければなりません。

 そういった新しい技術に対応していく中で、また新たな課題やリスクが出てくるでしょう。だからこそ、特に日本の加盟店のみなさんにとって、PCIのセキュリティ標準をご活用いただくのが重要になってくると思います。現在PCI SSCは、世界で700の加盟店やベンダー、銀行やペイメントプロバイダーが参加企業となっておりますが、そのうちの39社がアジア太平洋地域にあります。今後はさらに、この数字を増やしていきたいと思っています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]