異なるシステム同士をデータ連携させるミドルウェア「ASTERIA WARP 4.9」、タブレット端末に文書コンテンツを配信するクラウド型の基盤サービス「Handbook」。インフォテリアが開発、販売する2つの主力製品だ。7月上旬、それぞれの事業責任者が2製品の戦略と製品動向を説明した。
ASTERIA WARPの直近のトピックは、接続できるシステムを増やす施策に注力していることだ。開発パートナー向けに、接続ソフトの“アダプタ”の開発を支援する施策を始めた。自社開発のアダプタについては、製品化に先立って評価版を無償で提供して製品にフィードバックする試みを開始した。
一方、Handbookは今秋に大型の機能強化を予定している。配信コンテンツのライフサイクル管理を狙った強化として、iOSのメッセージ通知機能を利用できるようにする。機能強化に先行してサポートも強化する予定。電話サポートやオンサイトでの導入支援サービスなどをメニュー化する。
ASTERIAのアダプタ開発を支援--開発ライセンスが不要に
主力製品の1つ、ASTERIA WARPは、異なるシステム同士をノンプログラミングでデータ連携させられるツール(図1)。ざっくりと言って、エンタープライズアプリケーション統合(Enterprise Application Integration:EAI)にデータを抽出、変換・加工、ロードする(Exact Transform Load:ETL)とジョブスケジューラの機能を備える。各種アダプタを介して業務ソフトやデータベースに接続し、これらのデータをルールに基づいて変換し、外部システムに引き渡す。こうしたジョブフローを定義して実行する。
図1:ASTERIA WARPの概要(インフォテリア提供)
画面1:ASTERIA WARPのデザイン画面
インフォテリア ASTERIA事業本部長 熊谷晋氏
ASTERIA事業本部長の熊谷晋氏は、「正常系の処理なら、非常に簡単に作れる」とASTERIA WARPの強みを語る(画面1)。「80%の完成度のデータ連携システムを素早く簡単にささっと作り上げる。スクラップ&ビルドで使わなくなったら捨てて、また作る。この目的に適している」(熊谷氏)
直近では6月に、ASTERIA WARPのエコシステムを強化する新たな施策を発表した。アダプタを整備することを目的に、(1)アダプタ開発プログラムと(2)ベータ版――という2つの取り組みを開始した。
エコシステム強化の1つ、(1)のアダプタ開発プログラムは、開発パートナーによるアダプタ開発を支援するプログラム。これまでにも開発パートナーが開発、販売するアダプタはあったが、開発のハードルが高かった。製品は、SCSKの「ASTERIA ERP Adapter for SAP」やパナソニックインフォメーションシステムズの「ASTERIA Salesforceアダプタ」などに限られていた。
新たに始めた支援プログラムでは、アダプタの開発にあたって開発ライセンス(300万円程度)を不要とした。こうした施策によって、以前よりも容易にアダプタを開発できるようになった。すでに開発パートナー3社が開発を表明している。インフォテリアでは、2015年度(2016年3月期)までにパートナーを10社に増やすことを目標に据える。