失敗例から学ぶ
他の人がデザインしたUIを使い、観察し、評価することはUIやUXのデザインを学び、技能を向上させるために重要である。世界にはさまざまなUIがあふれているので、観察・評価の対象には事欠かないはずである。身の回りの良いUI、いまいちなUIなどを思い浮かべてみてほしい。
良いUIはその良さゆえに気づきづらいという特性もあるため、なかなか挙げづらいかもしれない。また、「何が『どう』良いのか」はさらに挙げづらいであろう。逆に悪いUI(BADUI、Bad UIなどと呼ばれることもある)のほうは、見つけやすく、悪い点は分かりやすく、また学ぶべきところも多い。
自分で見つけ、観察・考察する以外にも『誰のためのデザイン?』(D. A. Norman著)や『失敗から学ぶユーザインタフェース』(中村聡史著)などの書籍、「楽しいBADUIの世界」などのウェブサイトにさまざまなBad UIのサンプルがとりあげられており、学ぶことができる。
書籍ではそれぞれの事例について「何が問題か」「なぜその問題が起こるか」「どう改善すべきか」などが詳しく解説されているので、新たなBad UIを生み出さないためにも一読をお勧めする。
ここでも、とあるデジタルカメラのサンプルを挙げておく。
シャッターボタンと電源ボタンを押し間違えるカメラ
このカメラを右手で持つと、シャッターボタンと紛らわしいところ、むしろ自然に人差し指が伸びるところに、電源ボタンがある。その結果、このカメラを初めて扱う人はほぼ100%、写真を撮ろうとして電源を切ってしまう。
構図を決めてタイミングを図り、シャターボタンを押したつもりが、電源が切れてレンズが収納されていってしまったときの残念な気分を思い浮かべていただきたい(後継機種では、この点はきっちりと改良され、電源スイッチはモードダイアルに統合されていた)。