総合的に見ると、OpenOfficeを使用した5年間のユーザー1人あたりの年間コストは530.38ユーロで、展開コストがその93%を占めていたとNeticsの研究チームは算出している。
対照的に、Office 365の年間コストは197.49ユーロだった。同研究チームによると、コストがここまで下がったのは、職員がMicrosoftの作業環境により慣れ親しんでいることや、Office 365がさまざまなファイル形式との互換性に優れていることが要因だという。
Office 365のコミュニケーション機能とコラボレーション機能の使用によるコスト削減がその数字に含まれていたら、年間コストはさらに下がるかもしれないと、研究チームは述べている。「Skype for Business」や「Yammer」を利用すれば、通話や出張の際の不要な支出を削減でき、ユーザー1人あたりの年間総コストは111.98ユーロまで下げられるかもしれない。
ただし、この調査は、機能セットと機能性がぴったり一致する2つの製品を比較しているわけではない、ということは指摘しておくべきだろう。OpenOfficeとOffice 365は根本的に異なる製品だ。前者はオンプレミスで動作し、コラボレーション機能はデフォルトでは組み込まれていない。一方、後者はクラウド製品で、ホステッド製品の使用に伴う長所も短所も備えている。
オープンソースの専門家であるMarco Trotta氏は米ZDNetに対し、「クラウドによって形勢が一変した。それはあまりにも大幅な変化で、この分野におけるMicrosoftの真のライバルが、OpenOfficeや『LibreOffice』ではなく、Googleになったのかもしれないと言えるほどだ。例えば、ノヴァーラ市当局はGoogleの製品を使って、サービスの一部を処理している」と語っている。
クラウドベースのアプローチがあらゆるビジネスのユースケースに最適なのかどうか、あるいは、オンプレミスが今でも最良の選択肢である状況が存在するのかどうか、という問題の結論はまだ出ていない。
ボローニャ大学のITインフラストラクチャも担当するTrotta氏は、「適切に実装されていないクラウドシステムは、内部ネットワークに悪影響を及ぼすこともあるので、(クラウドは)今流行っているからという理由だけで使うべきではない。職場で実際にニーズがある場合に利用すべきだ」と話す。例えば、職員が現場に出ていることの多い都市計画部門では、リモートで仕事ができることは実際に価値があるかもしれない。そのほかのケースでは、そこまでの優先事項ではない可能性が高い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。