クライアント向けからサーバ向け、さらにゲームPC専用やIoT向けなど、幅広い製品やサービスを展開するWebroot。グローバルな脅威インテリジェンスネットワークをクラウド上に構築したことでも特徴的なセキュリティベンダーだ。同社の最高マーケティング責任者(CMO)であるDavid Duncan氏に、同社の取り組みや特徴、戦略などを聞いた。
――Webrootとはどんな企業か。
Webrootは1997年に米国コロラド州で創業し、以来コンシューマーとエンタープライズ向けにウイルス対策製品やサービスを開発、提供しています。現在、150億円の資金があり、400人の社員がいます。
Webroot CMO David Duncan氏
――最近のサイバー攻撃について、どう感じているか。
個人や企業を取り巻く環境が大きく変化したことで、脅威も大きく変化しています。そのひとつがモバイルの普及です。モバイルが主流になったことで、脅威から保護する形が従来から変わってきています。従来のセキュリティの考え方は「ウォールオブガーデン」、壁で囲まれた世界だけを守っていればよかったわけです。
しかし、モバイルが主流になって、いろいろな人が自宅や会社、屋外などさまざまな場所からインターネットにアクセスするようになりました。このため「ウォールオブガーデン」という考え方では、もうデバイスを保護できません。「壁で守っていれば安全」という考え方は通用しないということが、私たちの現状認識です。
また、マルウェアの数が急激に増えているという現実があります。昨年1年間でおよそ10億のマルウェアが検知されていまして、これは一昔前の数年分に匹敵する数です。その背景には、マルウェアの作成が容易になったことが挙げられます。たとえばマルウェアビジネスを始めようとしたら、10万円程度の出資で可能です。
マルウェアを作成するツールキットも安くなっていますし、それをばらまくためのボットネットもレンタル可能になっているためです。このように、プログラミングの知識がなくても、わずかな資金だけでマルウェアビジネスを始められるようになってきています。
さらに大きな問題として、世界の人口は70億人ですが、インターネットに接続されているデバイス、機器類はすでに80億台に達しているということがあります。この数は増加の一途をたどり、2060年には260億台に達すると予測されています。インターネット利用者人口、接続デバイス、マルウェア。これらはますます増えていくだろうと見込まれています。