地方公共団体情報システム機構(J-LIS)は、マイナンバー制度の開始に伴い、全国の地方公共団体(7月現在1743団体)の「個人番号カード」交付窓口で本人確認に顔認証システムを採用する。NECが9月16日に発表した。
J-LISは、地方公共団体が共同で運営する組織として2014年4月1日に設立され、マイナンバー制度に不可欠な個人番号付番システムや個人番号カード発行システムなどを構築、整備する。制度開始後はシステムの運営と個人番号カードの発行業務などを担う。
マイナンバー制度では、この10月から住民票を有するすべての国民にマイナンバーが記載された紙の「通知カード」が郵送される。ICカードである個人番号カードの交付を希望する者は、同封されている個人番号カード交付申請書に顔写真を貼付し地方公共団体あてに申請することで、個人番号カードが交付される。
個人番号カードは官民含めてさまざまな利用シーンが想定されている。だが、身分証明書の偽造や変造などの犯罪が社会問題となっていることもあって、その交付時には地方公共団体に厳格な本人確認が求められると説明する。
J-LISでは今回、なりすまし防止のため顔認証システムを取り入れることを決定、「個人番号カード交付窓口用顔認証システム」をNECに発注した。NECが開発する顔認証エンジン「NeoFace」を活用する。
NeoFaceは、米国立標準技術研究所(NIST)の顔認証技術ベンチマークテストで3回連続の第1位評価を獲得。NECによると、顔認証システムが全国の地方公共団体で統一的に導入されるのは、今回が初めての事例としている。
個人番号カード交付窓口用顔認証システムは、地方公共団体の窓口で利用され、個人番号カードの交付を希望する住民に対し、顔認証で厳格に本人を確認できると説明。顔認証技術は、個人番号カード交付申請での交付時来庁方式と申請時来庁方式の両方で、以下のような形で活用される。
交付時来庁方式では、カメラで撮影した来庁者の顔写真と、スキャナで読み込んだ個人番号カードの券面情報の顔写真を照合する。申請時来庁方式では、カメラで撮影した来庁者の顔写真と、スキャナで読み込んだ個人番号カード交付申請書の顔写真を照合する。
システムは写真の類似度を数値で画面に表示し、職員は数値を各地方公共団体の基準に照らし合わせて交付の可否判断の目安とする。顔情報はシステム内に保存されないため、セキュリティ面での安全性も確保しているという。