そして利益が出れば、「利益投資」をすればよいのです。利益投資は次の利益を生むことになります。
ただ、健康経営の取り組みには「コンプライアンス」が大前提です。コンプライアンスとは、法で定められた従業員全員の健康診断受診はもちろん同じく法により12月から運用が開始される「ストレスチェック」の受診などを実施し、事後措置を適切に支援することです。健診データは、健康経営の投資対効果を図る評価分析する上でも重要です。
――健康経営に取り組むことでもっと具体的なメリットがあると一層取り組みやすいのですが。
企業を対象とした健康経営銘柄認定では、認定された企業には低利融資などの優遇があります。中小企業を対象としたものとして、この6月から、厚生労働省が安全衛生優良企業公表制度を行っています。
この公表制度とは、従業員に配慮が行き届いている、いわゆる「ホワイト企業」として認定されることと同義です。採用難の時代ですから、人材採用において差別化できます。また地方の協会けんぽと地方の金融機関がタッグを組み、健康経営を推進している中小企業には低利融資や預金の金利アップなどが検討されはじめています。
中小企業診断士や社労士に健康経営の支援をしていただくために2016年度から「健康経営アドバイザー資格」も国が主導して創出される予定です。
――ありがとうございました。
このように、健康経営の推進は、まずは、経営者が経営戦略として従業員の健康を取り入れることを宣言し、健康診断などのコンプライアンスを守ること。できるところから取り組み、その成果を測ること。あまり難しく考えないで、できるところから取り組むことであると確認できました。
2回目以降も健康経営について、ITを使った健康支援の手法などを解説していきます。
- 石見一女(いわみ かずめ)
- 株式会社Be&Do代表取締役 一般社団法人人と組織の活性化研究会代表理事 オンラインで行動変容を実現する手法と仕組みを開発し提供する事業をおこなっている。その仕組みを用いた自発的な健康増進をもたらすプログラム「健康100日プロジェクト」や健康経営推進ポータル「ウェルビネぷらす」を開発、販売。学習の定着化、オンライントレーニングなどのサービスを提供。