3.データを簡単にクラウドに出し入れする自由
現在は、ユーザーがクラウドにデータを直接アップロードし、直接接続できるようになっている。Amazonが「Kinesis」をリリースし、ユーザーが簡単にストリーミングを利用できるようになったのは比較的最近のことだが、Jassy氏によれば、これでは十分ではないという。
同氏はこの課題を解決する製品として、基調講演で「AWS Kinesis Firehouse」と呼ばれる新たなストリーミング製品を発表した。これは、AWSに継続的にデータをストリーミングするものだ。Kinesis Firehouseは、自動的に規模の調整やデータの連結を行うほか、ストリーミングするデータの暗号化も行う。
クラウドにデータを入力するために物理メディアを必要とするユーザーに対しては、「Amazon Snowball」と呼ばれる、安全で物理的に送付可能なストレージ製品を発表した。Amazon Snowballは、サービス開始時点では50テラバイトの容量に対応し、安全な梱包、強力な暗号化、ロジスティクスのサポートを提供する。
Amazon Snowball
提供:Conner Forrest/TechRepublic
4.データベースの相性の悪さからの解放
2014年、AmazonはMySQL完全互換のデータベースである「Aurora」を発表した。Jassy氏によれば、Auroraは最近、成長の早さで「Amazon Redshift」を抜いたという。また講演が行われた米国時間10月7日、AWSユーザーが利用できる6つめのデータベースとして、「MariaDB」が追加された。
ただし、これで複数のデータベースエンジンを扱う際に生じる可能性のある問題を解決できるわけではない。データベースエンジン間の移行を行うユーザーを支援するため、Amazonは新たに「AWS Schema Conversion Tool」を発表した。これは、異なるデータベースエンジン間で類似のデータ及びプロセスを探し、簡単に移行できるよう、必要な変換を実行するものだ。
5.移行の自由
多くの企業は、似たような経緯でクラウドを利用し始めているが、その多くはいまだにAWSと一緒にシームレスに社内データセンターも稼働させたいと考えている。新たに導入される「AWS Database Migration Service」を利用すれば、データベースの移行を決断した場合に、本番環境のデータベースを最小限のダウンタイムで移行することができる。
6.安全に活動する自由
多くの企業にとって、安全性を取るか、クラウドを利用することによるスピードを取るかは、重要な問題だった。Jassy氏は、もはやこの判断を行う必要はなくなったと話す。クラウドを利用することによって、スピードと安全性を両立することができるようになったためだ。
既存のセキュリティサービスやコンプライアンスサービスに加え、新たに提供される「AWS Config Rules」は、ユーザーがリソース構成のコンプライアンスルールを設定し、このルールが破られた場合にアクションを起こすことを可能にする。例えば、すべてのインスタンスをVPCで起動したいというルールを設定し、それが破られた場合、それらのインスタンスを終了することができる。すべてのインスタンスに環境タイプのタグを付けたい場合は、それを強制するルールを設定することもできる。
また、Jassy氏は、AWS上に展開されたアプリケーションのセキュリティやコンプライアンスに関する問題を発見し、ユーザーにレポートする自動セキュリティ評価サービスである、「Amazon Inspecter」も紹介した。
7.「イエス」と言う自由
Jassy氏によれば、AWSのスピードとパワーによって、ITリーダーは新たな取り組みに対して「イエス」と言えるようになる。例えば、Major League Baseball Advanced Media(MLBAM)のエグゼクティブバイスプレジデントであるJoe Inzerillo氏は、今回のカンファレンスで、AWSによって同社がNHLなどの組織と新たにパートナーシップを組み、よりよいスポーツコンテンツと統計情報を提供できるようになった事例を説明した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。