若手エンジニアの転職が止まらない理由とは--35歳定年説にとらわれる若者の決断 - (page 2)

野本纏花

2016-02-28 07:00

——実際、転職したらスキルアップは実現するものなのでしょうか?

 一概には言い切れませんが、例えば、SIerからウェブ系の企業に行けば、まったく視点が変わってきますよね。一口にエンジニアと言っても、新卒で大手のシステムインテグレーター(SIer)に入ると、いきなり管理側に回されて、まったく手を動かせないという人もいますので。そういう方にとっては、転職することで開発力のスキルアップは図れるとは思います。

——逆に、社内異動でスキルアップするという選択肢は?

 異動も見据えて社内で色々動いた結果、あきらめてキャリアカウンセリングにいらっしゃる方が多いので、現実的にはなかなか難しいんでしょう。大手では特に、「“石の上にも3年”といったことを言われた」という話を耳にします。異動希望と並行して転職活動を進める方もいますが、異動が叶って転職活動をやめた方は、ほとんどいらっしゃいません。

——若手エンジニアの持つ転職への価値観はどのようなものでしょうか?

 エンジニアは手に職がある職種なので、会社にずっと居座り続けるという思考は、あまりお持ちではない気がします。むしろ、将来的にはフリーランスになってもいいかなと考えている方も多いです。

 ですので、自分が成長できそうな環境があれば、迷うことなく次に行く。結構フランクに転職されている印象はありますよ。

——フリーランスになる心理的なハードルが低いので、もし転職で失敗しても怖くないと。

 そういう方ばかりではないとは思いますが、昨今フリーランスへの障壁は下がっているなというのは、実感しています。弊社ではフリーランスの支援もしておりますが、転職のキャリアカウンセリングにいらした方の半数くらいは、「今すぐにというわけではないけれど、将来的にフリーランスへの転向も考えているので、とりあえず話だけ聞かせて欲しい」というご要望を出されています。

——業界によって、転職の傾向に違いは見られますか?

 母数としてSIerの人材が一番多いので、必然的に多くなりますよね。私が支援している方の大半は、SIerやシステムの受託会社からの転職です。


下流のSIerから自社サービスを手掛けるWeb系への転向を希望する声は多いという

 業界的には、ソーシャルゲーム業界の人材は動きが活発ですね。圧倒的に他の業界よりも流動性が高いと思います。ソーシャルゲーム業界は新しい技術を学べる現場として、スキルアップを図りたい方に人気が高いんですよ。

 また、ソーシャルゲームをやっていた人はスキルがありますし、負荷のかかるサービスを運用してきた経験をお持ちなので、ウェブサービスを展開しているエンタメ系の企業やアドテクの企業など、引き合いも多いです。

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