フルスタックで行こう!--これからのエンジニアが目指すべき姿

横山芳成 (ウルシステムズ) 2014年11月18日 07時00分

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 数年前と比較すると、クラウドの利用は当たり前であり、システムに必要な環境をコマンド一つで用意することもできる。ソフトウェアはオープンソースソフトウェア(OSS)が色々と出現し、商用製品はOSSに負けないように、より付加価値をつけ、操作や利用のコモディティ化が進んでいる。

 インフラやミドルウェアの変化を受けて、エンジニアへの要求も変化してきている。最近、耳にする「フルスタックエンジニア」というキーワードから、これからのエンジニアに何が求められるのかを考えてみよう。

「お金も時間もない」への最適解は?

 企業では、競合に負けないために、より速くサービスを提供することが要である。トライ&エラーで状況を評価し、投資の選択と集中を考えている。それは、1年や2年のサイクルではなく、3カ月や半年のスピードで繰り返される。最初はスモールスタートでサービスを立ち上げ、土台や1階部分を作り、継続したエンジニアリングにより2階、3階、4階と建て増しをする。すべては、顧客に満足していただき、収益を増大させるためだ。

 ITは強力な武器である。サービスそのものの品質にも寄与するが、業務の効率化や、状況分析から次の打ち手を考えるツールにもなる。契機を逃がしたくないので、ひらめいたことをすぐに実装し、リリースしたくなる。いちいち外部へ依頼して、調整の時間を損失したくない。また、外部の要員に任せていては、仕事がない状況でも、要員確保のコストを払い続けることはナンセンスだ。

 特にベンチャー企業でのスタートアップ(サービスの立ち上げ)で顕著だが、外部へ委託するお金はないし、サービスや機能の仕様を調整に時間をかけたくない。このため、自社の要員での内製を考え、サーバ、ネットワーク、アプリケーション、デザインを総合的にデリバリできるスキルを求める。また、数人の専門家を集めることはコストがかかるので、1人でやりきって欲しいと強く考えている。いわゆる全部できるスーパーマンが求められている。

フルスタックとは何か?

 このように「1人でなんでもやってくれる人」が求められる時代である。機能やサービスレベルを理解し、複数案から最適なシステム構成を考え、直に手を動かして、各種手配や環境構築、チューニング、プログラミングをし、求められるレベルへ向けて改良を重ね、最終的に欲しいものを具現化して欲しい。

 一昔前はLAMP(Linux+Apache+MySQL+PHP)という言葉で環境を一通り説明できていたが、クラウドや言語、データベースなどで選択の幅が広がり、LAMPのように固有の技術のみでは片付かなくなってきた。さらにスマートフォンなどモバイルの活用が当たり前であり、クライアント側での表現や動作、セキュリティにも気を配らなければならない。OS、ミドルウェア、ネットワーク、プログラミング、デザインを包括的に知っていて、知識と経験に裏付けられたスキルを溜め込んでいる状態、つまりFullにスキルをStackされている状態が求められている。

 また、“できる人”ではなくて、ほっといても“正しくやってくれる人”が求められている。知識や経験があっても具現化できなければ価値がない。指図する立場ではなく、求めるものを素早く正確に構築してくれる人が望まれている。

需要はライトウェイトだけにとどまらない

 フルスタックの話をすると、事業会社での内製や個人向けのライトなウェブアプリケーションの領域での話であろうと考えがちである。果たしてそうだろうか。

  • Oracle DatabaseでRAC(Real Application Clusters)を構築したことがあり、AWR(Automatic Workload Repository)のレポートをすらすら読めてパフォーマンスチューニングはお手のもの。また、MongoDBやMemcachedも構築したことがある
  • TalendなどのETLツールの利用経験もあり、データ連携をなるべくプログラミングレスでやれる方が品質的にも安定すると提言できる
  • JavaScriptライブラリも業務で何個も実装経験があり、今回のシステムの実現性を考えるとD3.jsの利用が最適であり、ここまで利用するのが良いと判断する

 将来のアーキテクチャ構想の検討を依頼する場合、このように、多岐な技術経験を持っている人と、知らない人のどちらにお願いするか。もちろん誰もが知っている人へ依頼するに決まっている。エンタープライズ領域でも、その領域で必要とされる各種技術の内容を知っておかねばならない。

 企業の基盤となる業務システムを構築しており、Javaプログラマーとして日々その価値を発揮している方も多いだろう。Javaでの製品開発に従事されている方は、専門性を突き詰めていけば良いが、業務システムの開発でプログラミングスキルだけを伸ばしていけば良いのであろうか。

 現在はさまざまなツールや製品があるので、一つの技術でシステムを構成することはない。言語としてのJavaだけに特化していても、発生する問題への解決策はJavaの中だけでしか考えられなくなる。データベースのチューニングやインフラ側の設定変更で、簡易に問題を回避できることもある。解決策の案を考える上でも、一つの糸口だけでは限界がある。

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