ネクストは11月17日、国立情報学研究所と提携し、11月24日から不動産情報サイト「HOME’S」の賃貸物件データを研究用に無償で提供すると発表した。HOME’Sに掲載された全国約530万件の賃貸物件データと、その間取り図や室内写真など約8300万枚の物件画像データを、研究目的であれば大学などが自由に使えるようにする。

ネクスト 取締役執行役員の山田貴士氏
データセットは、間取り図や内観、外観、周辺施設などの画像とそれに対応するテキストが含まれており、空間認識技術や感性情報の検索などの研究で活用が想定されている。また、郵便番号など所在地情報も付与されていることから、地域情報に基づいた情報統合・データマイニングなどへの展開や、地域情報や経済情報を扱う社会学への応用が考えられるとしている。
国立情報学研究所はこの4月に、データを核として他社や学術などとともにイノベーションを目指す「オープンイノベーション」を推進する組織「データセット共同利用研究開発センター」を設立。「情報学研究データリポジトリ」など、研究用のデータセットを設置している。これまで企業では、ヤフーや楽天、クックパッド、リクルート、ドワンゴなどがデータセットが提供しているという。国立情報学研究所では各種のデータセットを再構築し、情報学分野の研究コミュニティに開放し、学生でも利用できるようにしている。
国立情報学研究所の大山敬三氏は、データセットの拡充を継続していくとし、データセットを提供した企業とは研究成果をクラウド上に共通基盤を作って共有できるようにするほか、連携できるような仕組みを検討しているとした。
ネクスト 取締役執行役員の山田貴士氏は「不動産は顧客にとって決断までに時間のかかる商材であり、(価格の決まり方や手数料、地域ごとの特性などさまざまな要因が絡むため)全体を理解するのが難しい。データを提供したのはオープンイノベーションを進める意志のあらわれ」とした。
ネクストでは今後、研究に利用できるツールキットの提供や、データセットを利用したハッカソン、インターンシッププログラムの実施、共同研究など、データセットの活用促進施策の実施も検討している。