サンフランシスコ発--Ciscoは、4月に提供を開始したクラウドベースのコラボレーションサービス「Cisco Spark」の新たな展開について発表した。Ciscoの製品ポートフォリオ全体またがる、より総合的なコラボレーションプラットフォームを目指す。
同社のコラボレーションポートフォリオマーケティング担当ディレクターChris Wiborg氏は、Sparkを同社の持つ幅広いクラウド製品やネットワーク製品と連携させることについて、「それを目指さないとしたらどうかしている」と話す。
これは米国時間12月8日、同社の年次イベントCisco Collaboration Summitで公式に発表された。それに先駆け、Wiborg氏は米ZDNetに対し、Sparkのアプリからプラットフォームへの進化について語った。今回の発表された3つの主要なポイントは、(単なる独立したアプリではなく)フルセットのコミュニケーションプラットフォーム化、幅広いCisco製品との連携、そして開発者コミュニティーの育成だ。
Sparkのグループメッセージ機能とコンテンツ共有機能はすでに何カ月も前から使われており、これらの機能は、ほかの大手IT企業が提供するエンタープライズ向けサービスにも組み込まれている。法人顧客には、ユーザー単位の月額料金を支払うサブスクリプション契約が用意されている。
しかし新Sparkは、2015年に入ってCiscoが買収した「Tropo」の流れを汲んでいる。Tropoは、SMSや音声通話をアプリケーションに統合するためのプラットフォームだ。
このSparkの新バージョンでは、ビデオ通話をCiscoの部屋用テレカンファレンスシステムから、モバイルデバイスに移し、その後再び部屋のテレカンファレンスシステムに戻すといったことが、数回のスワイプでできるという。
Wiborg氏は、Sparkの新プラットフォームについて「すべての通話には、ミーティングになる可能性がある」と説明する。Wiborg氏はまた、Tropoの買収に伴って獲得した人材について触れ、これらの人材は開発者のための物作りをする開発者だと話す。
Ciscoのコラボレーション技術グループ担当ジェネラルマネージャーであるRowan Trollope氏は、ブログ記事の中で、Sparkはテレビの中の夢の技術を実現したものだと述べている。
「テレビ番組の中では、誰もテレカンファレンスのために番号を調べたりしないし、映画の中では、主人公がテレカンファレンスルームから急いで駆け出すと、その部屋で誰かと話していたビデオ通話はまったく継ぎ目なくスムーズに電話に転送され、話し続けることができる」(Trollope氏)
Trollope氏は現実は映画のようにはいかないことを認めながらも、Sparkならそのようなコミュニケーション体験が、普通のオフィス環境で日常的に可能になると主張している。
Wiborg氏は、Sparkにはいくつかの競合製品があることをあっさり認めた。具体的には「RingCentral」や「BlueJeans」、「Slack」などだ。
しかし同氏は、Sparkが他の競合製品と異なるのは、「ハイブリッドサービス」の集合である点だと述べた。これにより、クラウドの機能を活用しながら、既存のユニファイドコミュニケーションへの投資を生かすことができるため、従来のITインフラの価値を拡大できると強調した。
簡単に言えば、Sparkは、オンプレミスサーバがホストしているカレンダーと、クラウドのテレビ会議アプリとの間の潜在的な結びつきを自動的に認識し、ユーザーに提供できるプラットフォームだということだ。
Cisco Sparkは、あらゆる規模の企業で利用できるように設計されているが、Wiborg氏によれば、一部の通話コンポーネントやサブスクリプション契約には、エンタープライズ顧客向けのものと中小企業顧客向けのものが用意されているという。
一部のサービスとオープンAPIがバンドルされた「Cisco Spark for Developers」は、12月8日から提供が始まっている。
完全版のCisco Sparkは、まず米国から2016年の第1四半期にリリースされる予定だ。他の国については、2016年中に順次リリースされることになっているが、「Spark Hybrid Services」の一部は、やはり2016年の第1四半期に、21カ国で提供が始まるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。