AWS利用の勘所

想定通りに利用するためのAWS運用のコツ - (page 4)

武川努(アイレット株式会社cloudpack事業部)

2016-02-24 07:00

特に問題はない?

 素晴らしいことだ。しかし、現時点では問題がないからといって、安心していると新たな問題が発生することがあるので、油断してはならない。実際によく見かけるAWSを利用した際の問題について列挙しよう。

手順の陳腐化

 AWSのサービスは常に進化する。最初に日本語のスクリーンショットを紹介したが、これは2015年リリースされた機能である。GUI画面が変更されることも多い。 このためスクリーンショットベースの手順書は、進化の中で陳腐化してしまうことが多い。作業手順については、コマンドラインベースで定義したほうがよい。

アップデート

 めったにないが、EC2 maintenanceの連絡が届くことがある。この場合、EC2インスタンスをある一定期間内に再起動する必要がある。 RDSサービスについてもバージョンアップなどが存在する。この時、指定したメンテナンス時間内でインスタンスが再起動される。また、AWSが提供するAmazon Linuxは半年に1度バージョンアップする。セキュリティのアップデートも含まれるため、アップデートにはできるだけ追従すべきだ。

 個々のEC2/RDSインスタンスについては、停止が必要になることがある。事前に連絡がくるので、タイミングを検討すればよいが、サーバを止めない前提でシステムを構成すると上記のような場合に慌てることになる。繰り返しになるが、サーバ停止がある前提でシステムは構築するべきだ。

各種上限の問題

 順調にシステムが大きくなると、さまざまな上限にぶつかる。申請で緩和できるAWSのサービスの上限(起動EC2インスタンス数など)、非公開で上限緩和もできないもの(AWS APIのリクエストレート)、作り直しが必要なもの(VPCのIPレンジ)などだ。AWSで公開している各種上限については、AWSサービス制限にまとまっている。

まとめ

 AWSでのコスト削減と、性能を向上させる方法について簡単に紹介した。文字量の都合上、かなり簡潔に説明してしまったが、大規模になるとAWS運用にはそれなりのノウハウが必要である。 自分たちでノウハウを蓄積していくのは、時間や費用のリソース的に難しい場合も多い。

 そのような場合はAWS、もしくはAWSのマネージドサービスを提供している会社(MSP)に相談するという手段もある。AWS自身は、運用サービスを提供していないが、アドバイスやMSPの紹介をしている。MSPには豊富な経験があるので、実際の運用に最適なシステムを提案、構築できるだろう。

武川 努
cloudpack(アイレット株式会社)サポートエンジニア。サーバーレス(0サーバー)から数百サーバーまで、日々サーバーをスケールさせて運用するイベント対応チームに所属。一緒にsite reliability engineeringを楽しんでくれる仲間を募集中。

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