ガートナーは2月24日、マーケティングでITを率先して利用するには、セキュリティと精度よりもスピードと俊敏性に焦点を当てる必要があるとの見解を発表した。その一方で、マーケティング部門をサポートするITアプリケーションリーダーのうち、2018年までにスピードと俊敏性を重視したIT戦略を掲げるリーダーは25%にとどまると同社では予測している。
ガートナーは、マーケティング領域、ソーシャル、モバイル、ビッグデータ、IoTのテクノロジが注目されるようになり、新たなアイデアや革新をテストするためには、事業部門とIT部門の両方にスピードと組織的な俊敏性が求められると説明。IT部門が新たな製品やサービスを実現するペース、または既存の環境をサポートするペースは、パートナーであるマーケティング部門の活動ペースと同じでならないと指摘する。
すなわち、マーケティングをサポートするITリーダーは、マーケティング担当者が新たなアイデアや革新をテストし試行できるIT環境を提供しながら、これまで通りITガバナンス、技術的な支援、評価も提供する必要があるということになる。
ガートナーが発表した、他の新しいCRMの展望は以下の通り。
- 2018年までに、IT部門が関与するソーシャルやマーケティング関連アプリケーションの意思決定は、今日の30%から増加し、約50%になる
- 2019年まで、大手マーケティング・アプリケーション・ベンダーの90%は、完全に統合されたマーケティング製品やサービスを提供できない
- 2019年までに、マーケティング財務管理機能を搭載するマーケティング・リソース管理(MRM)の実装は、今日の25%未満から増加し、50%以上になる
- 日本国内については、2019年までに、マーケティング業務におけるIT依存度の高まりとともに、独自のIT予算を持つマーケティング組織を擁する国内企業の割合が、現状の20%から40%にまで倍増する
ガートナー ジャパンは、特に国内企業においてはこれまで、マーケティングによる市場創出・開拓といった考え方にあまり積極的ではなかったという側面もあり、マーケティングにテクノロジを活用しようとする動きはそれほど活発ではなかったと指摘する。これは一般消費者の均質的な行動特性ときめ細かな作業を得意とする人的労働力によるものという。
しかしながら現在のデジタルの時代では、顧客接点の多様化、行動パターンの複雑化、それらに伴う情報の爆発的増加に速やかに対処しなければならず、もはやテクノロジの活用なしにはマーケティング業務をこなすことが不可能になってきた。そのため、IT部門には従来の堅牢性や計画性を重視するアプローチに加えて、マーケティング業務の目的、求められるスピード感と価値観を理解し、それに合わせたテクノロジへのアプローチを推進することが必要になると説明。CIOやITリーダーはこれら両方のモードを同時にサポートできるアプローチを実現するために、組織面での改善を視野に入れた対策を立案すべきと提言している。