CEOが抱く不安「CxOの顧客への理解度」
「IBM Global CEO Study 2013」では、最高経営責任者(CEO)だけでなく最高情報責任者(CIO)、最高財務責任者(CFO)、最高人事責任者(CHRO)、最高マーケティング責任者(CMO)、最高セキュリティ責任者(CSCO)といった各CxOの役割を担う人たちにインタビューし、その調査結果を分析している。
日本IBMの戦略コンサルティング部門をリードする池田和明氏
対象は世界的な大組織の各CxOで、調査人数は、CEO 884人、CFO 576人、CHRO 342人、CIO 1656人、CMO 524人、CSCO 201人にも上った。今回は、経営陣それぞれの視点から「未来の経営課題」を眺めてみたい。
これまでの記事で、CEOは「顧客の影響力の高まり」を強く実感していることを紹介した。その裏返しとして興味深い回答も得られている。CEOは「他のCxOの顧客への理解度」に対して不安を抱いているのだ。その比率は低業績企業のCEOほど高いことが分かった。
トレンドは内部統制から顧客へ
社内の不協和音とも言える、CEOの経営陣に対する不信感について、日本IBMの戦略コンサルティング パートナーの池田和明氏に聞いてみた。
「2001年のエンロン事件、2008年のリーマンショックと、振り返ってみれば、多くの企業はつい最近まで内部統制に力を注いできました。この動きを否定するものではありませんが、時代のトレンドは変化します。今は攻めの戦略が必要になってきているのです。CEOはそのキーワードが“顧客”であることを実感している。だからこそ、他の経営層がかつての内向きの戦略に固執していないかが心配なのです」
一方で、経営コンサルタントでループス・コミュニケーションズ代表取締役社長の斉藤徹氏は次のように述べる。
「調査結果を見ると、各CxOも顧客のパワーを意識して、経営全体に関与する動きを見せていることが分かりますね。CxOのうち、約7割は“顧客接点のデジタルシフト”を意識し、約5割が“個のレベルで顧客に応対”する必要があるとしています。経営陣もCEOと同じく、時代の変化を敏感に感じとっているのです」
CxOの時間や関心の配分は、各部門のオペレーションや管理から、顧客体験の変革へと移りつつあるのだ。CxOも組織の枠組みを超えて、チームとして一丸となるべきタイミングだと言えるだろう。では、それぞれのCxOの調査結果を見ていきたい。