米国フォーティネットは3月2日、同社のセキュリティ診断プログラムで得たデータの調査結果を発表した。サイバー攻撃が多いのは金融と教育機関という。
同社では今回、このCTAPを通じて米国のさまざまな分野におけるフォーティネットユーザーおよび見込み客数百社から数カ月に渡って収集したデータを基にレポートを発行した。数百万件のインシデントを分析した結果、未知のセキュリティ脅威が大規模に企業のネットワーク上を往来していることを特定したとのこと。
この分析結果からは、3214万件を超える攻撃の試みが企業のネットワークを標的にしていることが分かり、すべての分野のあらゆる規模の企業が、悪意に満ちた脅威に常にさらされていることが明らかになったという。
- TechRepublic
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その脅威の主なタイプとして、マルウェア、ボットネット、およびアプリケーションの脆弱性に対する攻撃が挙げられている。例えばアプリケーションの脆弱性に対する攻撃では、上位10位で計35万7420件のネットワークへの不正侵入の試みが観測され、71件の異なるマルウェアやボットネット亜種がネットワーク上で検出された。
今回の主要な分析対象分野はヘルスケア、金融サービス、教育、テクノロジ企業で、悪意のあるアクティビティのおよそ45%近くが銀行を狙ったもの、次いで27.4%が教育分野を標的にしていたという。
さらに4カ月間で3214万件の攻撃の試みを分析した結果、攻撃者は自動化されたシステムやツールを速やかに作成し、攻撃に利用可能なネットワークの脆弱性を探っているという。
Conficker、Nemucod、ZeroAccessなどマスコミの注目を集めるマルウェアが幾度も現れコンピュータへの感染を止めないのは、金銭的インセンティブが大きく働いているためで、Confickerで5230件、 Nemucod で4220件、ZeroAccess で3210件もの事例が企業ネットワークで発生しており、この種の脅威が今後も拡大することは明らかとした。
アプリケーションの脆弱性を狙った攻撃の試みは、分析されたインシデントの上位10位で35万7420件に上っており、ハッカーは幅広い企業を継続的に狙い、企業データへの不正アクセスを試みている。
また、ソーシャルメディアとマルチメディア ストリーミングがネットワークトラフィック全体の25.65%を占め、企業のシステムやデータは、ドライブバイダウンロードやソーシャルエンジニアリング、そして悪意のある広告による感染のリスクにさらされているという。最も利用されるFacebookはソーシャルメディアトラフィック全体の47.27%を占め、ストリーミングコンテンツではYouTubeが42.29%を占めるとした。
広告コンテンツはネットワークトラフィックの19.1%を占めるが、サードパーティーの広告配信ネットワークが悪意のある広告の配信に利用されることから、マルウェアの感染源と見られている。
システム管理者にとって常に問題となるのはアプリケーション制御であり、多くのピアツーピアトラフィック(主にBitTorrentやゲーム)により、悪意のあるコンテンツが、人気サイトからダウンロードされるアプリやファイルに便乗してネットワーク内に侵入しているという。自社ネットワークのアプリケーション制御ポリシーを作成する際には、この点に注意を払うべきとした。
ネットワークへの侵入が成功した場合、莫大な利益をもたらす金融関連情報が入手できるために、悪意のあるアクティビティの44.6%が、銀行・金融機関を標的にしている。ハッカーは攻撃を迅速に展開し、巧妙なトロイの木馬型マルウェアや「land and expand」型攻撃戦略によって金融機関を攻撃し、ネットワークへの侵入と潜在を狙う。
このレポートでは、教育機関を標的にする攻撃は27.4%を占め、金融サービスに次いでリスクにさらされています。教育機関に対する主な脅威はボットネットであり、感染における上位10位のうち7つがボットネットによるもので、そのほか、大々的に報道されたiOS のマルウェアXcodeGhostが、教育分野の脆弱性リスト上位10位に入っているとした。
悪意のあるアクティビティ全般において、ヘルスケア分野を標的にした攻撃は10.6%と3位を占めており、ヘルスケア分野では、自動化されたエクスプロイトキットの出現が特徴的という。Flash、 Silverlight、Internet Explorerの脆弱性を狙い、ドライブバイダウンロードやウイルスが埋め込まれたホームページの閲覧を利用したシステムへの侵入が目立っているとした。