2月3日に開催されたフォーティネットジャパンの2015年事業戦略説明会で、米Fortinetでインターナショナルセールス&サポートを担当するシニアバイスプレジデントのPatrice Perche氏は「われわれはワールドワイドで2020年にセキュリティ分野のマーケットリーダーとなるという目標を掲げている。先日発表した2014年度決算(2014年12月期)も対前年同期比31%増となる8億9600万ドルの売り上げとなり、市場の平均成長率5%を大きく上回る成長を遂げている」と好調さをアピールした。
2015年度(2015年12月期)についても、(1)アジア太平洋地域で15%以上のシェア獲得、(2)ビジネスカバレッジを拡大し、各国の状況に応じた業界別ソリューションの提供、グローバルソリューションの提供、統合製品の提供などを実現、(3)パートナーとの協業強化という3点を強化ポイントとしてあげている。
米Fortinet インターナショナルセールス&サポート シニアバイスプレジデント Patrice Perche氏
フォーティネットジャパン 社長執行役員 久保田則夫氏
日本法人ではサービスプロバイダー/データセンター、大企業/公官庁、中小企業と3つのターゲットマーケット別に製品やソリューションを提供する。
キャリアとの協業では、2月3日付でNTTコミュニケーションズがフォーティネットの仮想アプライアンス、サブスクリプションサービスを採用したクラウドサービスを提供すると発表。地方自治体向けには、マイナンバー制度開始にあわせて対応セキュリティソリューションを提供する。
「われわれの製品のベースとなっているのは200人以上のセキュリティ研究者が在籍する(研究機関の)FortiGuard Labs。2015年には日本固有のセキュリティ問題に対応するため、日本のラボ開設も計画している」ことを日本法人の社長執行役員 久保田則夫氏が明らかにした。
マイナンバー向けにも提供
フォーティネットでは2014年度(2014年12月期)のワールドワイド実績について、「ファイアウォール単体ではなく、エンドトゥエンドのトータルセキュリティを提供した結果、主力製品である(統合脅威管理=UTMアプライアンス)FortiGate以外の売り上げが53%にまで拡大。これは製品ラインアップの拡大、パートナーとの協業が成功している成果だと言える。また、営業組織をキャリア、金融、公官庁といった業種別に再編した。
「こうした成果が功を奏して、アジア太平洋地域ではトップシェアを獲得することができた。好調な成果によって人員増など投資に費用を割くこともできた」(Perche氏)
フォーティネットの特徴として、(1)速度への評価が高いが、これはベースとなるのはASIC技術でのリーダーシップで、さらに顧客からの要望に応じて開発できる体制(2)200人規模のラボを持ち常に最新の脅威を研究する体制(3)全世界を3つに分けて対応し、3つの地域ごとに3分の1の売り上げをもち、グローバルに起こる脅威とともににローカルな脅威に対抗する体制をもつ。
日本法人ではサービスプロバイダーとデータセンター向けには大規模コンテンツ配信網(CDN)、マネージドセキュリティサービスといった観点から超高速ファイアウォール、クラウド/SDNなどを提供する。
大企業や公官庁、大規模基幹向けにはマイナンバー制度、Industrie 4.0、Windows Server 2003サポート終了などの観点から、次世代ファイアウォール、標的型攻撃対策、内部セキュリティ対策、セキュアWi-Fiなどを提供する。中小企業向けにはマイナンバー制度、私物端末の業務利用(BYOD)といった観点から、セキュアWi-Fi、FortiCloudなどを提供する。
「特定マーケットだけに特化するのではなく、どのセグメントからも販売できるソリューションを揃え、対応していく。また、提供する製品のベースとなるのが、FortiGuard Labsの存在。ゼロデイ対策を取るとともに、いち早くシグニチャを作れるのはこのラボの存在あってこそ。さらに今年は日本でラボを開設し、ローカルな声に応えていく体制を作る」(久保田氏)
具体的なサービスプロバイダーとの提携例としては、製品を組み込んで、クラウド環境のマネージドサービスとしてNTTコミュニケーションズが提供する。
企業規模を問わず、日本企業にとって大きな焦点となりそうなマイナンバー制度は「官公庁向け案件の先頭を走ることができるよう、準備を進めて対応する」と総務省が発表している、中間サーバプラットフォームに対応したソリューションを提供する準備を進めている。