静岡新聞社と富士通は4月6日、富士通のモバイル活用基盤「FUJITSU Cloud Service MobileSUITE」を利用した、スマートフォン入稿システムを共同で開発し、運用を開始したと発表した。
同システムは、スマートフォンから静岡新聞社の新聞を制作する新聞電子組版システム(新聞CTS:Computer Typesetting System)への各種コンテンツの入稿を可能にするもの。システムの導入により、ノートPCより持ち運びが容易なスマートフォンで、場所を選ばずに原稿を入力でき、写真も撮影してすぐに送信可能となり、迅速なニュース配信を実現しているという。
(富士通提供)
これまで静岡新聞社の記者は、従来から記者専用のノートPCで新聞CTSにVPN接続し、各種コンテンツを入稿していた。しかし近年、近年、スマートデバイスの普及や、通信の高速化などにより、インターネットを利用して配信されるニュースが増加。さらなるニュースの速報性が求められるようになっており、静岡新聞社でもスマートフォンからの入稿が可能なシステムを検討していた。
しかし新聞CTSをモバイル対応するためには、膨大なシステム開発コストと時間、およびスマートフォン紛失に伴う情報漏えい対策、運用・管理業務負荷などが課題となっていたという。今回のシステム構築では、MobileSUITEを活用することで、こうした課題を解決したとのこと。
- TechRepublic
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導入されたシステムの特徴や効果は以下の通り。
スマートフォンの利用により、記者のワークスタイルを変革
同システムにより、取材のスケジューリング、記事データの作成、写真撮影、データ送信(入稿)という記者の一連の作業が、スマートフォン1台で完結するようになった。また、従来の専用記者PCよりも持ち運びが容易で、あらゆる場所で記事データの作成が可能なため、迅速なコンテンツ入稿、およびニュース配信が可能となる。
最小限の開発で、業務システムと連携したモバイルアプリを短期構築
MobileSUITEは、業務システムと連携したモバイルアプリを開発する際に必要となる各種機能(ID連携、データ定義、認証など)をあらかじめ用意しており、サービスとしてすぐに提供できるため、開発工数の削減が可能。
これにより、今回、スクラッチ開発と比べ工期を短縮し、わずか4カ月でスマホ入稿システムの構築を完了した。また、今後の機能追加などにおいても、プラットフォームの設計・構築工数を削減できるため、より一層、新規の読者向けサービスの企画に注力できるようになった。
統合管理コンソールにより、システム導入・運用・管理コストと業務負荷を軽減
MobileSUITEは、記者1人ひとりのスマートフォン利用状況やアプリ配信状況、リモートロックや消去による盗難・紛失時の情報漏えい対策などを、1つの画面上でまとめて管理できる統合管理機能を提供。これにより、アプリやコンテンツを管理するシステムや、端末管理システムなど複数の管理システムの導入が不要となり、一元的に管理できるため、システム導入コストとシステム運用・管理業務負荷が軽減される。
将来的なシステム拡張に迅速・柔軟に対応
今回のスマホ入稿システムの導入後にも、利用者の要望を取り入れた機能拡張や新規業務アプリケーションの追加などが発生すると考えられるほか、スマートデバイスの進化に対応したプラットフォームの進化も必要になってくると考えられている。また、静岡新聞社では、音声での記事入力、ニュース発生位置情報の送信など、記者の利便性向上を実現し、メディア業界の取材スタイルの革新を牽引するためのシステム強化を視野に入れている。
MobileSUITEはクラウド型の基盤のため、このような現場の要望や市場動向にあわせたシステム拡張や改修にも柔軟に対応することが可能。