しかし、同社の決算を見ると、OracleがSun Microsystemsの買収に伴って取得したオープンソースRDBMSである「MySQL」は大きく成長している(IDCによれば、オープンソースデータベースの成長は31%に達している)。OracleがMySQLのサブスクリプション販売から得ている収益は、「Oracle Database」に比べればはるかに小さいが、MySQLは明らかに、最近重視されるようになったワークロード、(そしてMySQLを気に入っている開発者)にうまく対応できるようになってきている。
ペースを維持するRDBMS
NoSQLは躍進しているが、必ずしもRDBMSが縮小しているわけではない。これにはいくつかの理由がある。
第1の理由は、企業はNoSQLを利用して、増える一方の非構造化データを手なずけようとしている一方で、企業の抱えるワークロードのほとんどは、依然としてトランザクションをベースとしたものであり、これはRDBMSが得意とする分野だ。
第2の理由は、NoSQLのアナリティクスツールが、まだ成熟していないということだ。GartnerのアナリストLynn Robinson氏が指摘するとおり、NoSQLで使いやすいアナリティクスツールは、ユーザーが使いやすいアナリティクスツールではなく、「アナリティクスツールが成熟し、データサイエンスを専門としない人たちが利用できるようになるまでには、まだ数年はかかる」だろう。
第3の理由は、定量化も、克服も難しい「文化」の問題だ。企業は30年以上もの間、リレーショナルデータベースを利用してきた。これを一夜にして変えることは難しい。
そして第4の、最後の理由は、一部の問題にはソリューションとしてRDBMSがもっとも適しているということだ。Facebookでデータに関する責任者を務めるKen Rudin氏は、次のように述べている。
「データの粒度の観点で見ると、当社では、もっとも粒度のレベルが細かいデータをHadoopのシステムに保持している。このため、もっとも詳細なレベルの情報を参照したい場合は、Hadoopが適している。しかし、変換後のデータや集約されたデータを参照する場合は、リレーショナルデータベースの方が適している」(Rudin氏)
このため、リアルタイム監視はHadoopと、Hadoopと連携しているNoSQLデータベースで行っているが、長期的な傾向の分析にはRDBMSが使われている。
2つの「大変革をもたらす存在」
データベースの第一人者の1人であるMichael Franklin教授は、NoSQLを「大変革をもたらす存在」と呼んで歓迎している。これは主に、そのスキーマの柔軟性からだ。しかしその柔軟性は、行と列の形にきれいに収められたデータに対しては高速で強力なクエリを実行できる、リレーショナルデータベースにも可能性を開いている。
つまり、RDBMSとNoSQLは、どちらも「大変革をもたらす存在」であり、これらを組み合わせることで、ビッグデータ時代の戦略を支えられるのだ。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。