海外コメンタリー

マイクロソフトがBash、PowerShell、DockerでサーバGUIに終止符を打つ理由 - (page 3)

Simon Bisson (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-04-26 06:30

 Microsoftが、今になってこうした方針転換を推し進めている理由は何だろうか。恐らく最大の理由はAzureであり、全地球規模のクラウド運用に伴う課題の解決である。数百万という数の物理サーバと仮想サーバをGUIのマウス操作で一つずつ構築するのは、現実的ではない。そのような環境を構築するためには、巨大なインフラストラクチャとアプリケーションの管理に耐えるスクリプトとサービスを作成し、あらゆる操作を自動化する必要がある。PowerShellを使用すれば、Windows Management APIに対応したスクリプトを作成し、並列稼働する膨大な数のサーバ上で、各種のコマンドを迅速に実行できる。

 これが、Microsoftが実現を目指しているシナリオである。PowerShellの開発は、このシナリオに合わせて方針転換された。また、Windows ServerのServer CoreでGUIが廃止されコマンドライン環境だけになったのも、現在のNano ServerでUI自体が全廃されたのも、このシナリオの実現に向けた動きである。

 リモート管理APIさえあれば、サーバの個別操作にはリモート管理ツールか、ウェブのフロントエンドがあれば事足りる。大規模な処理にはバッチスクリプトを使用できる。なお、コンテナのホスティングに用いられるユニカーネルの登場により、同様のコンセプトはUNIXにも導入される動きがある。

 サーバからUIを廃止することには、数多くのメリットがある。最大かつ最重要のメリットは、攻撃者に不正操作される危険性と、保守運用に要する負荷の両方が激減する点である。サーバのサイズは縮小され、俊敏性が向上し、構成が容易になる。単一タスクに最適化されたサーバも構築できる。シンサーバで複数のコンテナをホスティングして主要な機能を分離し、OSとアプリケーションを保護できる。さらに、「Desired State Configuration(DSC)」などスクリプト主導のテクノロジでサーバ構成の安定性を確保し、「Just Enough Administration(JEA)」で管理者権限の割り当てを厳密に管理することもできる。

 一方のクライアントサイドを見ると、MicrosoftはBashのWindows対応とPowerShellのAPI対応により、GUIのないサーバ環境への移行準備ができた開発者と管理者の両方を支援する、強力なツールを手に入れたことになる。これらの要素すべてを鑑みると、われわれには実に興味深い未来が待ち受けていると言えよう。

 

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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