パーソナライズを実現するためには、顧客体験(顧客向けのパーソナライズ)、業界向けアプリ(従業員向けのパーソナライズ)、ビジネスインテリジェンス(顧客データなどデータ分析によりニーズをつかむ)などの技術が必要だ。その土台はクラウドにある。
クラウドにより敏捷性や柔軟性が得られ、メンテナンスが不要になることから、イノベーションに時間と予算を割くことができるからだ。
だが、業界向けアプリケーションは業務を支えるミッションクリティカルなシステムであることから、多くの企業はクラウドへの移行になかなか踏み切れないという現状がある。Weiler氏によると、ミッションクリティカルなアプリケーションのうち、クラウドにマイグレーションしている比率は28%にとどまるという。
「顧客関係管理システム(CRM)、サプライチェーンマネジメント(SCM)などをクラウドに変えることは腕など体の一部を手術するようなもの。だが企業のビジネスの大動脈であるミッションクリティカルのマイグレーションは、心臓移植のような手術になる」とWeiler氏。
多くが導入から10〜20年が経過しており、その間にシステムインテグレーション、カスタマイズが積み重ねられている。また、セキュリティへの懸念、複雑な規制なども障害となっているようだ。
だからこそ「実用的なステップをとる必要がある」とWeiler氏、「6年、10年……。時間がかかる。だが動き出す必要がある。技術が変わるとき、市場は動く。受け入れなければ取り残されてしまう」と警告した。
OracleのGBUは、顧客の変化を支援すべく、技術と組織の両方で体制を整えている。プロジェクトポートフォリオ管理の「Primavera」、レストランやホテル向けの「Micros」など約30社を買収し、技術と専門知識をそろえた。
各業界向けのゼネラルマネージャーが製品開発とマーケティング、そしてロードマップと戦略に責任を持つ。2万2000人が業界向けにフォーカスして開発などの作業にあたっており、研究開発への投資額は年間7億ドルという。
Weiler氏はOracleのツールや技術などのリソースを活用することで、イノベーションにフォーカスできると胸を張る。パブリッククラウドでは、セキュリティをはじめとした最新技術を備えたデータセンターを世界19カ所に配置している。
「業界別アプリケーションのクラウドへの移行はたくさんのプランニングが必要で、時間がかかる。Oracleはこれを支援する」とWeiler氏は会場に集まった2000人に呼び掛けた。