企業を推進するべき「健康経営」

感情をコントロールするマインドフルネス--疲労をマネジメントする方法 - (page 2)

石見一女

2016-06-11 07:30

――石川さんがビジネスパーソンのみなさんに伝えたいメッセージは何でしょうか。

 疲れていること自体に気付かない人が多いということです。不調が続きすぎてそれが普通になっている。朝起きて疲れていても普通、昼食を食べて眠くなるのも普通とか。でもそれは普通じゃなく、疲れに気づいていないだけなのです。

 時代が変わったということにもみんな気づいていません。なにせ寿命が延びたのです。(これからの寿命の延びを考えると)人生100年ぐらいで計画を設計すべきといっても過言ではありません。自分が何歳まで働くとか何歳まで生きるということを考えてみてほしい。しかし普段はなかなかそんなことは考えません。実際は75歳まで働かないと、生活を保てないのです。75歳まで働こうと思うと、体や脳を常に疲れさせてしまっていることは当然リスクです。

――石川さんのお話しの中で「気づき」という言葉がよく出てきます。

 マインドフルネスは「気づきのトレーニング」と言われています。マインドフルネスはイライラを感じたときに実施するのが、最も効果的なのです。ストレスがたまった時など。

 その時に、自分はいったい何に対していらついているのか、など客観的に自分を観察することで冷静になれます。感情は思考を簡単に止めてしまいます。しかし感情の源泉を見つめていくと、自分の本質が表れています。怒っていることは自分の大切なものに注意が向けられているということなのです。

 ストレスを軽減するには、その感情がいったい何の感情なのか、名付けることです。これは怒りなのか不安なのか、悲しみなのか、何なのか。名付けることができたら(客観的になれるので)こっちのものです。

 I am angryと I feel angryは違います。何に怒っているかを知ることで、自分が何を大切にしているのか、どうしてそれを大切にしているのか、これを世の中に広めるときに、長く大切にできるものなのかとか、気づかされます。

 部下に「ちゃんと考えろ」という人を見ると、「あなたは“考える”ということはどんなことかを考えたことがありますか」と聞きたくなります。それを考えたことがなければ人に指示など的確に出せるわけはありません。でも、なかなか気づかない。人は自分で気づかないと学習に入っていけません。そこまで気づきの感度を高めるというのがマインドフルネスだと思います。

 マインドフルネスは感情を抑えるつけることだという誤解がありますが、自由自在にいろんな感情をコントロールできるようになると考えています。

――ずいぶん哲学的な思考ですね。

 マインドフルネスのトレーニングで、去年Googleのプログラムに参加して、自分と向き合うことができるようになったと感じています。

 私は1年かけてGoogleの講師養成トレーニングを受講、サンフランシスコにも4回行きました。今、そのトレーナー資格を持った人は世界では百数十人。日本では4人です。私が学んだ動機は、人に教える経験のほうがより学びがあるだろうと考えたからです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]