前回紹介した、Googleやインテルも導入しているというマインドフルネス。今年、「疲れない脳をつくる生活習慣―働く人のためのマインドフルネス講座」を出版した予防医学研究者兼CampusforH共同創業者の石川善樹さんにマインドフルネスの意義や、導入上の課題などを聞きました。
――石川さんがマインドフルネスに初めて接したのはいつ頃ですか。

予防医学研究者兼CampusforH共同創業者の石川善樹氏
リーマンショック後の2008年ごろでしょうか。マインドフルネスのトレーニングでは「今、ここに集中」することで、それらの効果が得られるとありますが、私自身の経験でも、今ここに集中することで危機を脱することができたことがあります。
当時、ビジネスがうまく行かなくなり、自己破産まで覚悟したときがありました。ストレスで夜眠れず、ネガティブなことばかり考えていたときに、たまたまスポーツジムのチケットをもらいました。プールに行き、泳ぐことに集中したところ、ポジティブに考えることができ始め、ビジネスアイデアも出てきて危機を脱することができました。
この話は、ではビジネスでうまくいっているときにプールにいくと、よいビジネスアイデアが浮かんだかというと、そうではないと思うのです。
ストレスとリラックスは両方大事で、ストレスがすごくかかったときにリラックスする――集中すると脳はすごく活性化するのです。
ほとんどの人はストレスのかけ方を知らないと思います。危機を乗り越えるとか、新しいアイデアを生むとかクリエイティブを求める時にはストレスは必要です。ですが、そんなシーンは毎日必要なわけではないので、不調を普通に戻すということがほとんどのビジネスパーソンに求められています。
どうストレスをかけたらいいのかという前に、多くの人が普段から疲れを溜めています。ずはそれに対処するべきといことで本を書きました。まずは普通に戻そうよということです。