あらゆる企業がソフトウェア企業に
両CEOはデジタルトランスフォーメーションについても語った。印象的なのは、「あらゆる企業がソフトウェア企業になる」というNadella氏の言葉だ。
「デジタルトランスフォーメーションにあたって企業はMicrosoftやSAPに技術面で依存するが、それだけではない。企業は単にデジタル技術を消費するだけではなく、デジタル技術を生産している」とNadella氏。
デジタルエコシステムを構築し、自社のオペレーションをエンドツーエンドで顧客やサプライヤーと統合し、「インテリジェンスシステム、デジタルフィードバックループを構築する」ことが重要になるからだ。「ある意味で、あらゆる企業がソフトウェア企業になっている」(同氏)。
社内でも、顧客のとらえ方を変えるようにしている。「自社から製品やソリューションを購入する顧客と考えるのではなく、(顧客を)革新的なソフトウェア企業と考えている」と述べた。
残念な副産物への対応
一方で、デジタル技術の普及がもたらした残念な副産物として、サイバーセキュリティ問題を挙げる。攻撃は毎日のように起きており、これまでのように攻撃を検出して対応するというモデルでは限界がある。
Nadella氏は、人工知能(AI)やパターン学習を利用して、効率のよい対応を進めていくことができると将来を予想した。Microsoftでは、セキュリティに関するデータとインテリジェンスを顧客と共有しているという。
McDermott氏は、企業トップの重点課題としてセキュリティと成長を挙げた。「どの企業でも現在の成功は将来約束されているわけではない」。成長を追求する必要があるが、セキュリティへの懸念が足かせになりかねない。成長とセキュリティのバランスを取るという点で、2社は支援できると述べた。
ではどうやって成長するのか――簡単ではない。Satya氏のアドバイスは、「まず、新しい方法で顧客に提供したり、サービスする方法を見出すところから始める。見出したら技術の活用を考え、最終的には社風が大切だ」というものだ。McDermott氏も、「ビジネスモデルのイノベーションが必要」と同意した。
技術業界については、競合と提携が交錯している中で自社のポジションを考えるとき、「アイデンティティ、目的意識、そして顧客との信頼関係」が大切だとNadella氏は言う。「われわれは40年前にツール企業としてスタートした。アイデンティティは、他者がその上に何かを構築できるプラットフォームを提供するプラットフォームプロバイダだ」と創業41年目の自社を位置付けた。