5月25日、26日の2日間、日本IBMは「IBM Watson Summit 2016」を開催した。初日のゼネラルセッションでは、「Watsonではじめるコグニティブ・ビジネスの時代」というタイトルで、事例を交え、Watsonを既にビジネスに活用し、ビジネス・イノベーションが可能であることを紹介した。
2月、Watsonの日本語化を発表した際に、パートナー企業として共に発表を行ったソフトバンクの代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏は、自社でWatsonを利用し、業務工数を削減したことを紹介した。
Watsonユーザーによるパネルディスカッションでは、自動車の運転支援、保険業務の支払い審査業務、ゲノム医療での利用と全く異なる分野でWatsonのユースケースを紹介。既にビジネスとして利用できるコグニティブをアピールした。
現在、IBMはコグニティブソリューションとそれを支えるクラウドプラットフォームの提供をメインビジネスと位置づけている。
日本IBM 代表取締役社長執行役員 ポール与那嶺氏
「現在、企業が進めるべきデジタライゼーションを実現していく中で、インテリジェンスにデジタルイノベーションを起こすための解決策をIBMは『コグニティブソリューション』と呼んでいる。1997年に提唱したeビジネス、2008年に提唱した、現在で言えばIoTの概念であるSmarterPlanetに続き、2016年に提唱しているのがCognitive Solutions。そしてコグニティブソリューションの目玉となるのがWatsonだ」(日本IBM 代表取締役社長執行役員 ポール与那嶺氏)
与那嶺氏は「WatsonはAIとどう違うのですか?という質問を受ける。しかし、本当重要なのはAIとは何かを議論することよりも使いこなしていくことではないか。Watsonは既に日本語化が完了しており、プラットフォームとして即利用が可能。さらに、IBMならでは味付けとして業種ごとの実績を付加して提供できる」とし、現時点で実用性が高いものとしてWatsonを提供していると説明した。
さらにデジタライゼーションを実現する際にクラウド、オンプレミスのどちらもでもハイブリッド対応で支援を行う。
コグニティブソリューションの目玉となるWatsonの特徴は、自然言語を理解する点にある。さらにWatsonを活用したソリューションを開発するたえのAPIが現段階で28公開され、さらに年内に50まで拡大する見通し。
IBM自身もWatsonを活用したコグニティブソリューションを構築。視覚障害者であるIBMフェローの浅川智恵子氏が、「IBM Watson Alchemy Vision」で、すれ違う人の表情から相手の気分を判断し、すれ違った知人に声を掛けるものや、ニューヨークメトロポリタンで開催したファッションショーに登場した、Twitterのツイート内容を分析し、分析内容に応じて色が変わる花をつけた「コグニティブ・ドレス」を紹介した。
Twitterの投稿内容の分析としては、投稿者の投稿を自然言語解析し、性格、行動、感情を読み取る「IBM Watson Personality Insights」を提供。この技術を応用していくことで、社内の人材を配置する際に、適した部署、相性がよい上司と部下を配置するといった話を紹介した。