IDC Japanは8月8日、2015年の国内システム管理ソフトウェア市場の実績と2020年までの予測を発表した。2015年の国内システム管理ソフトウェア市場規模は前年比4.9%増の3095億2900万円となった。また2020年には、3875億円に達すると予測している。

国内システム管理ソフトウェア市場 売上額予測:2015年~2020年
2015年の国内システム管理ソフトウェア市場は、2014年(4.2%)を上回る前年比成長率を達成し、3000億円を突破した。仮想化されたシステム環境に対するモニタリングや構成管理の需要の増加によってソフトウェアの導入が増えている。
また、大手企業やデータセンターサービス事業者がプライベートクラウドの構築に伴い、ソフトウェアによって運用プロセスの自動化を実施するケースが増加。業種別の動向としては、官公庁や自治体向けの売上が増加したベンダーが多かったことが特徴として挙げられる。
2015年のベンダー別の売上額シェアでは、日立製作所が首位を堅持した。2位に富士通、3位にNECと続き、これら上位3社で65%以上のシェアを占めている。4位にIBM、5位に日本マイクロソフトが続いており、上位5社の中では日本マイクロソフトだけが5%以上の前年比成長率を達成した。
一方、ヴイエムウェアが50%以上の前年比成長率を達成し、5位圏内に迫ってきている。ヴイエムウェアは仮想化ソフトウェアとシステム管理ソフトウェアの統合ソリューションの販売を強化しており、システム管理市場における存在感を高めている。
2016年の国内システム管理ソフトウェア市場は前年比4.9%増、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.6%とIDCでは予測した。同社では、2016年以降も、仮想環境のシステム管理最適化やプライベートクラウドにおける運用自動化やITサービス管理に対して、システム管理ソフトウェアの投資が続いていくとみている。
また、オンプレミスシステムだけでなく、IaaS(Infrastructure as a Service)のようなクラウドサービス上で構築されるシステムに対する運用管理のニーズが増加してきており、新たな市場機会になるとみている。
同社ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、以下のようにコメントしている。
「これからますますシステム環境の多様化が進んでいく中で、それらを一元的に管理できる新たなソリューションのニーズが高まっていくと考えられる。ベンダーは、SaaS(Software as a Service)型のシステム管理やアナリティクスを活用したモニタリングなど新たなシステム管理ソリューションを積極的に取り入れ、ユーザーのシステム管理の環境とニーズの変化に追従していくことが重要である」