海外コメンタリー

未来のデータセンターを支えるロボット工学

Bob Violino (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-08-16 06:30

 企業は自社のITインフラを自動化するための新たな方法を見つけつつある。

未来のデータセンターを支えるロボット工学
提供:iStock

 データセンターは、さまざまな変革の波にさらされてきている。その長い年月のなかで、大型のメインフレームコンピュータから脱却し、サーバやストレージの仮想化を採用し、電力消費を削減する「グリーンIT」イニシアティブを展開してきており、今では台頭しつつある「ソフトウェア定義」テクノロジの真っただ中にいる。

 そして、ITインフラの今後を語るうえで忘れてはならないものがもう1つある。それは、データセンターの自動化において、ロボット工学の果たす役割が広がっていくという可能性だ。

 IT関係のコンサルティングとサービスを手がけるMTM Technologiesの戦略およびイノベーション担当バイスプレジデントであり、Data Center Knowledgeブログの定期的な寄稿者でもあるBill Kleyman氏は、「ロボット工学の素晴らしい点は、次世代のデータセンターをかたち作り、実現に向けた支援を行うというところにある」と語っている。

 同氏は「例えば、構造化され、完全に機能する運用フローが用意されているのであれば、データセンター管理におけるほとんどすべての側面は制御、計算可能なものとなる」と述べている。

 サーバコンポーネントが故障した場合、現在では管理者がハードウェア機器の交換を短時間で実施することになる。ロボットを採用した場合、あらゆる詳細や機能が計算され、見通せるようになる。同氏は「推測は不要になり、すべては予測され、制御される」と語っている。

 IBMやEMCといった企業は既に、「Roomba」のカスタマイズ可能なバージョンである「iRobot Create」を用いて、データセンターを巡回し、温度や湿度、空気の流れといった環境要素を捕捉したり、資産管理を行うロボットを開発している。

 データセンターにロボット工学を導入する最大の理由は、効率化を極限まで推し進めるというニーズにある。企業は常に、自社のITインフラのアジリティを高めるとともに、コストを削減するための方法を模索している。つまりロボット工学は、そのような目標を達成するための自動化能力を高める手段として見なされているのだ。

 加えて、これらテクノロジはデータセンターのフットプリント全体を削減し、インフラの複雑さを低減するために実際に役立つ。

 Kleyman氏は、「企業はより多くの機器を導入することなく、密度を高めるために力を注いでいる」と述べるとともに、「その目標を達成する最善の手段は、(統制された)データセンター配備アーキテクチャ、すなわちロボット工学の採用だ」と述べている。

 「データセンターにおけるロボット工学の採用により、長期的な投資対効果(ROI)の向上が見込める。事前の設計と実装はコスト増を招く可能性もあるが、長期的な利益は見過ごせないものとなるはずだ。管理者はソフトウェアとハードウェアの自動化プラットフォームと、ロボット工学に基づくインフラを直接連携させられるようになる」(Kleyman氏)

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