IDC Japanは8月12日、国内製品別IT市場における、2016年第1四半期(1~3月)の実績と、最新の景気動向などに基づく2016~2020年の予測を発表した。2016年の国内IT市場規模は、前年比成長率0.2%の14兆7973億円。国内ハードウェア市場が前年比マイナス3.1%の6兆3538億円、国内ITサービス市場がプラス2.1%の5兆5003億円、国内パッケージソフトウェア市場はプラス4.4%の2兆9432億円と予測している。
一方、国内IT市場に国内通信サービス市場を加えた国内ICT市場の2016年の市場規模は、前年比成長率マイナス0.2%の25兆4960億円と予測。2016年の国内IT市場はソフトウェア(パッケージソフトウェア)市場、ITサービス市場が堅調な伸びを示すものの、エンタープライズネットワーク機器を除く全てのハードウェア製品市場がマイナス成長となるため、IT市場全体としては前年比ほぼ横ばいとしている。
国内IT市場の2015~2020年の年平均成長率(CAGR)は0.8%、国内ICT市場のCAGRはマイナス0.3%と予測している。2020年の国内IT市場規模は15兆4007億円、国内ICT市場規模は25兆1630億円と見込んでいる。
2020年は東京オリンピックの開催年であり景気が上向く期待が持たれているにもかかわらず、国内IT市場の成長率はほぼ横ばいという予測になっている。その直接の原因として同社は、2020年1月にWindows 7のサポート終了を迎えるため2019年に更新需要増が予測されているPC市場が、その反動で大幅なマイナス成長となることを挙げている。
PC市場は米国でも縮小傾向にあるが、同国では第3のプラットフォーム市場関連の投資増によりソフトウェア市場などでそれを上回る成長が予測されている一方、国内では現状のIT戦略が続くと、オリンピック開催という景気の上昇時期においても、PC市場のマイナス成長を上回る第3のプラットフォーム関連の戦略的IT投資増が期待できない状況にあるとしている。
同社ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は、「ITサプライヤーは、国内市場において第3のプラットフォームを活用した戦略的IT投資を増加させるために、ITプロフェッショナル(ITユーザー企業)に対し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していくべきである」と分析している。
2015~2020年の国内IT市場前年比成長率予測(2015年は実績値、2016年以降は予測)