米国IBMは9月8日、新たなLinuxサーバ3種類を発表した。いずれも新しいチップとOpenPOWERコミュニティーによるイノベーションの成果が組み込まれたもので、x86サーバーと比較してより高いレベルのパフォーマンスと計算効率を実現、コグニティブ・ワークロードを高速化し、データセンター効率を向上するという。具体的には、x86システムと比較して1ドルあたりのパフォーマンスが80%向上するとしている。日本IBMが9月12日、抄訳で伝えた。
IBMでは、OpenPOWER Foundationを通じてほかのテクノロジーリーダーと協力しており、今回のサーバは従来のコモディティーサーバよりも高い性能を実現すべく幅広いアクセラレータを取り入れ、チップレベルとシステムレベルの両面からプラットフォームの設計を根本的に見直したとのこと。
発表された3種類のサーバの概要は以下の通り。
- 「IBM Power System S822LC for High Performance Computing」
日本では9月26日出荷開始予定、先着100台をキャンペーン税別価格311万8000円で提供。
新プロセッサ「IBM POWER8 with NVIDIA NVLink」を搭載、高速の相互接続NVIDIA NVLinkによりNVIDIA Tesla P100 Pascal GPUと直接接続。NVIDIA NVLinkはシリコンレベルで組み込まれ、システム設計全体に取り込まれており、IBMとNVIDIAテクノロジーの密結合により、x86ベース・システムの5倍のデータ処理の速度を実現するという。
なお本システムは、大規模な多国籍の小売企業、米国エネルギー省オークリッジ国立研究所(ORNL)やローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)など、複数の企業や研究組織、政府機関において既にシステムの事前検証を済ませ、実装が開始されているとのこと。IBMでは2017年に、ORNLとLLNLのそれぞれに次世代スーパーコンピュータSummitとSierraの納入を予定している。ORNLとLLNLは、SummitおよびSierra向けアプリケーションでNVIDIA NVLinkテクノロジを活用できるよう最適化するための開発プラットフォームとして本システムを採用した。
- 「IBM Power System S822LC for big data」「IBM Power System S821LC」
日本でも既に提供中、S822LC for big dataは最小構成で税別価格85万円より、S821LCは最小構成で税別80万9000円から。
ビッグデータ向けに位置付けられたLCサーバ。これらのシステムでは、NVIDIA Telsa K80 GPUアクセラレータをPCIeで接続することで、各種アプリケーションのパフォーマンスレベルを向上させることが可能。また、POWERAccel Coherent Acceleration Processor Interface(CAPI)を活用してFPGAアクセラレーターとの高速相互接続を実現できる。