世界中に点在するコンピュータにデータを分散、非中央集権ネットワークにより、データの破壊や改ざんを困難にするブロックチェーンについてさまざまな企業が実証実験を始めている。仮想通貨や勘定系システムだけでない、社会インフラや企業システムへの展開の可能性を識者が語る。今回は5回目(第1回)(第2回)(第3回)(第4回)。参加者は以下の6人。
参加者(自己紹介順)
- 小川久範(一般社団法人金融革新同友会FINOVATORS 副代表理事 司会)
- 平野洋一郎(インフォテリア 代表取締役社長)
- 大谷健(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー)
- 川村篤史(日本IBM コグニティブ・インダストリーソリューション事業部 決済ソリューション担当部長)
- 朝山貴生(テックビューロ 代表取締役所長)
- 杉井靖典(カレンシーポート 代表取締役 CEO)
情報システム部門の担う役割は変わるか
小川氏:これまでの話から、ブロックチェーンはSIerや情報システム部門が担う役割も変化していくということでしょうか。
川村氏:事業部門の方々のほうがブロックチェーンの特性を理解して考えてくると、従来のSIerや情報システム部門が担っていた役割は変わってしまうと思います。
川村篤史(日本IBM コグニティブ・インダストリーソリューション事業部 決済ソリューション担当部長)
杉井氏:例えば積み木を積み上げるようなかたちで、小さい業務がたくさんあるとします。「業務を積み上げて、線で結んで」といった、「どういう条件で」というプロセスフローを積み上げて業務ができるプラットフォームは流行るんじゃないかなと思います。そういうのができてくると、情報システム部門はいらなくなる可能性は高いかもしれません。これはセールスフォースやkintoneでもそうですが、業務を知っている現場の人や企画書を書くだけでいい。
朝山氏:データベースアーキテクトという仕事もなくなるかもしれない。
杉井氏:そうかもしれません。僕は「プログラムを書いたら負け」くらいのことを言っているんです。業務を知っていて、業務を設計するほうが重要なんです。どういう粒の集まりで業務ができているのか。小さい業務を束ねたものが大きな業務になっていき、それがさらに集まって大きな業務になっていくわけです。そういう業務設計ができるほうが僕は重要で、情報システム設計はなくなると思うんです。これはブロックチェーンだけの話ではありません。